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ファイバアレイFiber Array

ファイバアレイ

光ファイバアレイは、コヒーレント光通信システムにおいて、光導波路素子と光ファイバを高精度に接続するために不可欠なデバイスです。コヒーレント光通信システムでは、光の位相情報を利用して高速かつ大容量のデータ伝送を実現しています。このため、光信号の伝送効率や信号品質の維持には、接続損失や反射損失を最小限に抑えることが重要となります。ファイバアレイはこの役割を果たすために、光導波路素子(シリコンフォトニクス、PLC:光導波路回路、自己形成導波路など)と光ファイバの接続において、極めて高い精度と安定性が要求されます。

ファイバアレイ ファイバアレイ

V溝基板と超精密加工技術

光ファイバアレイは、V溝(V-groove)基板に光ファイバを高精度に横一列に配列・固定することで製造されます。V溝基板は、主にガラスやシリコンを材料として用い、半導体加工技術を応用したエッチングや研削加工によって形成されます。V溝の形成精度はナノメートル(nm)レベルで管理されており、光ファイバの外径(通常125 µm)に対してサブミクロン(0.1 µm)オーダーの位置精度が求められます。
この高精度な位置決めにより、光ファイバのコアが正確に整列し、光導波路素子への光信号の結合効率が最大化されます。また、ファイバ端面は物理接触(PC)研磨や斜め研磨(APC)が施され、反射損失や挿入損失を低減しています。特にAPCでは、光の反射を8度程度の角度で逃がすことで、反射による信号劣化を最小限に抑えることができます。

Lidless FAU / Lid Recessed FAU

接続損失の低減技術

光ファイバアレイにおける接続損失は、挿入損失と反射損失に分けられます。
挿入損失は、ファイバコアの位置ズレや端面品質のばらつきによって引き起こされます。
反射損失は、光ファイバ端面での反射光による干渉や戻り光が原因です。
当社の光ファイバアレイでは、これらの損失を最小限に抑えるために、以下の技術を採用しています。

・サブミクロンオーダーのコア位置調整 – V溝加工精度を高め、光ファイバコアを正確に配置。
・端面研磨技術 – PC/UPC/APCなどの研磨方式を適用し、接続損失を低減。
・低損失UV接着剤 – 光学特性に優れた接着剤を用い、接続部での光の散乱を抑制。

LD/PD導波路とファイバアレイの一体型デバイス

光通信システムにおいて、**LD(レーザーダイオード)やPD(フォトダイオード)**のような光発光・受光素子と光ファイバの高効率な接続が求められます。特に、LD/PDアレイデバイスは高密度化が進んでおり、ファイバアレイを用いた一体型のデバイスが重要な役割を果たしています。
当社では、これらのLD/PD導波路へのファイバ直接結合に対応したファイバアレイを製造しています。

・高密度・狭ピッチ構造 – ファイバ間ピッチを125 µm以下に抑え、高密度接続を可能に。
・光学リードフレーム – 導波路素子と光ファイバを一体型に組み合わせた構造で、位置精度と安定性を確保。
・低損失結合 – コネクタ損失を0.1 dB以下に抑え、光信号の伝送効率を最大化。

当社独自の光学リードフレーム技術

Orbrayでは、ファイバアレイと導波路素子を一体化した「光学リードフレーム」を提供しています。このリードフレームは、

・シリコン基板またはガラス基板上にV溝を形成
・光ファイバを精密に配置・固定
・LD/PDデバイスとの直接結合

を一体化することで、組み立て時のばらつきを抑え、高精度な光結合を実現します。
さらに、光学リードフレームにより、LD/PDやシリコンフォトニクス素子とファイバアレイ間の接続距離を最小化し、光路長の短縮とともに損失を抑えることが可能です。狭ピッチアレイ(ピッチ100 µm以下)や多チャネル構成にも対応しており、最新のコヒーレント通信技術やデータセンター用途に最適な設計となっています。

ファイバアレイ曲げ加工、角度研磨、MPOコネクタの組立、PMF・MCFを並べたファイバアレイ

高精度光ファイバアレイレーザフォーミング先端加工 ファイバアレイ曲げ加工、角度研磨、MPOコネクタの組立、PMF・MCFを並べたファイバアレイ

今後の展望

光通信技術の進展により、コヒーレント通信の高速化・高密度化が加速しています。これに伴い、光導波路素子と光ファイバの接続精度や安定性への要求は一層高まっています。特に400G~1.6Tといった次世代光通信規格においては、狭ピッチ・低損失・高安定性を兼ね備えたファイバアレイが不可欠となります。
Orbrayでは、独自の超精密加工技術やV溝形成技術、端面研磨技術を強化することで、今後のさらなる高密度化・高精度化に対応した製品開発を進めています。これにより、次世代光通信システムにおける高性能化と低コスト化に貢献していきます。

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