光ファイバアレイとは ~光導波路素子との接続デバイス、次世代高速大容量の光通信に不可欠なもの ~
光ファイバアレイは 高速大容量の光通信システムの実現には、欠かせないデバイスです。
光ファイバを用いた高速大容量の光通信システムは、膨大なデータを送受信するため、広く利用されるようになりました。情報化社会を支える基盤として、日々発展を続けています。 光通信システムを構築する際に用いられるデバイスの1つに光ファイバアレイがあります。近年、データ通信量の増大と共に、光通信システムはさらなる高速化、大容量化が求められるようになってきました。
光通信の高速大容量化で求められる光デバイスの進化
光通信システムは、光デバイスや通信方式の進化によりデータ通信量を増やしてきました。初期の光通信システムでは、光のオンとオフをデジタル符号の1と0とし、時間軸上に信号を多重する時分割多重(TDM: Time Division Multiplexing)技術が用いられています。オンオフの検出には、光の強度を受光素子で直接検出する、強度変調直接検波方式(Intensity Modulation-Direct Detection:IM-DD)が用いられました。原理が単純で簡単な構成で実現できるメリットがあり、10Gbit/s程度までの通信速度のシステムで広く普及します。
その後、光の合波や分波を行うプレーナ光波回路(PLC: Planar Lightwave Circuit)が開発され、光の波長軸上で信号を多重する波長多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)技術が用いられるようなりました。これにより、データ通信の大容量化が進みます。
近年では、さらなる光通信システムの高速大容量化を目指し、光の強度と位相情報を検出するコヒーレント検波方式とデジタル信号処理を組み合わせて高速信号を多重化する、デジタルコヒーレント光通信技術の開発が進んでいます。デジタルコヒーレント光通信技術が実用化すれば、100Gbit/s以上の高速信号をより多く多重することが可能となり、飛躍的にデータ通信量が増えることになります。
高精度、低損失の接続を実現する光ファイバアレイ
光ファイバアレイは、コヒーレント光通信システムに欠かせないプレーナ光波回路などの光導波路素子と光ファイバを結合するための接続デバイスです。複数の光ファイバから光導波路素子に信号を入力する際や、光導波路素子から複数の光ファイバに信号を分ける際には、光導波路素子の個々の経路と光ファイバを接続する必要があります。光ファイバは非常に細く、そのままの状態で1本ずつ個別に接続していくことは困難です。また、光の損失が無いように、接続の際には光が通るコア部分を高い精度で位置を合わせる必要もあります。位置合わせが正確にできるように個別にコネクタ化をすれば、光導波路素子の接続部を大きくしなければなりません。
光ファイバアレイは、光ファイバを高精度に配列固定した光デバイスです。超精密加工技術により形成された狭ピッチのV溝基板やマイクロホールアレイに光ファイバを整列、または挿入して固定し、端面をサブミクロンオーダーの高い平坦度で研磨することで製造されます。光ファイバアレイを用いることで、光導波路素子やLD/PD、高密度アレイデバイスなどと光ファイバを、高精度、低損失で接続することが可能になります。小型、高密度実装が求められるコヒーレント光通信システムでの光ファイバの接続には、無くてはならない光デバイスです。
光ファイバアレイに求められる条件
光ファイバアレイの素材には、石英ガラスやセラミックなどの素材が用いられています。V溝やマイクロホールは、これらの素材で作られた基板に対し、ダイヤモンド砥石を用いた超精密切削加工や精密エッチング加工により形成されます。また、光ファイバアレイに必要な精度で加工された金型を用いて、モールド成型により加工する方法もあります。
より信頼性の高い光ファイバアレイの製造には高精度の超精密加工技術や組み立て製造技術が必要です。加工を行う装置や加工技術の他、安定した生産や加工条件出しのためにも、多くの経験や知識が必要になります。また、加工された製品が精度を満たしているかを確認する、検査体制が整っていることも必要です。 更に、コヒーレント光通信システムのような高速大容量通信においては、光デバイスに高精度、高精密が求められるだけでなく、装置の小型化や高密度実装への要望がより高まり、光デバイス自体の小型化も求められるようになりました。光デバイスの小型化のためには、より微細な加工を高精度で行わなければなりません。ファイバピッチを狭めた、より小型のファイバアレイを製造するには、超高精度なV溝基盤加工技術に加え、ファイバ外形を加工するファイバエッチング技術なども必要になります。
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