光インターコネクトとは?光ファイバについても解説
光インターコネクトは、光を利用し、コンピューターやデータセンターなどの機器同士を高速で接続する技術のことを意味します。大容量通信および高速化が可能とされていますが、なぜ光インターコネクトが必要なのでしょうか。
本記事では、光インターコネクトの概要や光ファイバのメリットなどについて詳しく見ていきたいと思います。
光インターコネクトとは
ここからは、光インターコネクト技術の概要や必要な理由、従来方式と異なる点などについて解説します。今後の通信業界において不可欠な要素となり得るため、ご紹介します。
データセンターにおけるインターコネクト
インターコネクト(相互接続)は施設内のフロア配線盤で、水平配線サブシステムを使用し機械的に接続する手法です。ケーブル端末のジャックからスイッチングハブなどのネットワーク機器に直接接続を行います。導入コストが低くコンパクトであるため、多くの場所で用いられている接続方式です。
光インターコネクトが必要とされる背景
ビッグデータやAIによる分析など大容量処理に対するニーズが高まるなか、データセンターではサーバの台数を増設し、分散処理によってシステム全体の処理能力を向上させる大規模化が進んでいます。規模の拡大に伴って従来方式を用いた継続が困難になりつつあり、サーバ間の接続を行う光通信の長距離化が不可欠となったため、光インターコネクトの技術開発が急速に進められました。
光インターコネクトは光ファイバを用いてデータ通信を行う接続方式であり、高速の電気信号を光信号に変換する光トランシーバが必要となります。最も高速なものでは毎秒25 Gbps(ギガビット)の光トランシーバが利用されている状況です。
従来のインターコネクトと異なる点
光ファイバを用いる光インターコネクトは、従来と比べ高速・大容量、長い伝送距離を保つことが可能です。対して、従来のインターコネクトは銅配線による電気通信を行います。波形劣化や信号干渉などの問題が生じる点と、通信スピードの高速化が求められるなかで、高速化する場合は配線数を増設しなければならない点がデメリットとなっています。
光インターコネクト技術の需要は高まっている
光インターコネクト技術に関する需要は世界中で増加しています。市場規模は、2020年時点で90億米ドルを突破しました。2025年には171億米ドルに達し、CAGR(年平均成長率)は13.7%で成長すると予測されています。
市場拡大の背景にはデータセンターの導入増加やクラウドコンピューティングの展開、ビッグデータ分析に伴い、データ処理能力の向上が求められていることが挙げられます。また、IoT機器の需要も急増しており、各デバイスを効率よく接続するために光インターコネクト技術が必要です。
光インターコネクトに欠かせない光ファイバ
ここからは、光インターコネクト技術において不可欠となる光ファイバの仕組みや特長について解説します。
光ファイバとは何か
光ファイバとは、透過率の高い石英ガラスやプラスチックから作られた光の伝送路です。1本の伝送路は極めて細い繊維であるものの、複数束ねることで大容量の情報を伝達する光ファイバケーブルとなります。
光ファイバケーブルは主に、インターネット回線などの通信に利用されます。
光ファイバを利用した回線の仕組み
光ファイバ回線は光信号を利用して情報を伝達する仕組みです。送信側は光変調器でデータを電気信号から光信号に変換し、光ファイバに送り込みます。
受信側では光信号を再び電気信号に戻し、復元されたデータをスマホやパソコンなどの端末に伝送します。動画サービスやオンラインゲームなど、インターネット上のさまざまな分野で活用可能です。
光ファイバ回線の特徴
光ファイバ回線の特徴はコストパフォーマンスが高いだけでなく、高速な通信、伝送損失が起きにくいといった利点があります。
高速通信を行える
光ファイバ回線の強みは、高速な通信速度です。従来回線であるADSLの通信速度は、最大でも50Mbpsが限界でした。しかし、光ファイバを利用した回線の通信速度は下り・上りともに最大1Gbpsであり、単純計算でADSLの20倍以上となります。また、一部の集合住宅では最大100Mbpsに制限される場合があるものの、ADSLに比べて約2倍の高速通信を実現可能です。
伝送損失が起きにくい
伝送損失は、信号が回線を流れる過程で外部に散乱したり、ケーブルの不純物によって吸収されたりして減衰する現象です。光ファイバは伝送損失が少ないため、速度の低下や画質・音質の劣化が起こりにくく、高品質な通信を安定して提供できます。
対して、従来の通信方法であるADSLは伝送損失が高く、基地局からの物理的な距離が遠くなればなるほど、通信が不安定になってしまいます。伝送損失の起こりにくさは、光ファイバのニーズが高い要因の一つだといえるでしょう。
当社で取り扱うファイバ加工技術
Orbrayでは、基礎製品である時計の軸受け宝石で培った研削・研磨技術を基に、さまざまなファイバ加工技術を取り扱っています。Orbrayの高い技術力を活かしたファイバ加工技術についてみていきましょう。
メタライズ・エッチング
メタライズは、バタフライ型光モジュールや光ポンプモジュールの製造において不可欠な技術です。光モジュール内部でLDと結合し、光ファイバを半田固定する際に光ファイバへのメタライズが実現されます。
また、エッチングは光デバイスの小型化や高密度化に効果的な技術です。光ファイバアレイのピッチを狭める、バンドルファイバー用途に活用するといった手法でクラッド径を調整可能です。そのため、既存製品のスペースを節約できます。
ARコート・バンドル
ARコート処理は、光ファイバの入射光や出射光の性能を向上させる技術です。バンドルファイバーは複数のファイバを束ねてフェルール内に挿入する接続技術を意味します。
さまざまな波長帯の接続やコネクタ化によって、接続先のファイバを容易に変更できる利点があります。また、エッチング技術の併用によってコアピッチの調整も可能です。各技術の組み合わせにより、光ファイバ接続の柔軟性と性能の向上が実現できます。
曲げファイバアレイ・狭ピッチファイバアレイ
曲げファイバアレイは放電熱を利用して光ファイバを曲げ、アレイ状に組み立てる技術です。回折格子型のシリコンフォトニクス(SiP)との結合に使用した場合、デバイスの省スペース化に有効となります。
狭ピッチファイバアレイは、ファイバエッチング技術とV溝基盤加工技術を用いて実現した接続部品です。通常では125μm外径のSMF(シングルモード光ファイバ)に対して、250μmピッチとなります。
外径にエッチング加工を施した場合は、50μm以下の狭いピッチも実装可能です。
コリメータ&フォーカサー・2段対応(カスケード)
コリメータ&フォーカサーは球面や非球面レンズ、ファイバの先端加工を利用して光を並行・集束させる光学部品です。当社独自の光学設計により、希望するビーム径に合わせて加工できます。
2段対応(カスケード)はファイバ列を上下2列以上で組み立てる技術です。超精密加工技術で形成されたV溝基板に、光ファイバを高精度で横一列上下2列に配列固定します。伝送損失を低減するためには、高精度のサブミクロンオーダーが必要です。
ガラスキャピラリ付き・アイソレータ付き
ガラスキャピラリはデジタルコヒーレント用光デバイス製造やシリコンフォトニクスとの接続に不可欠な部品です。フェルール形状の2芯タイプやDカットなど、さまざまな形状を検討できます。また、標準材質はホウケイ酸ガラスです。
光アイソレータはLD近傍に配置されており、LDから発信される光を透過させ、反対側からの光を遮断する一方通行の光機能部品です。メタライズやYAG溶接を用いたロウ付けタイプ、接着タイプ、形状としては円筒型・表面実装型・レセプタクル型などがあり、目的に応じた選択が可能です。
レンズ付き・ファイバスタブ
レンズ付き光学部品は、球面・非球面レンズを光デバイスや光モジュールの設計に合わせて金属部品に組み入れたものです。金属部品への圧入や低融点ガラスでのシーリングが主体となり、レンズ表面には指定のARコートが施せます。
ファイバスタブはTOSAやROSAなどのレセプタクル型光モジュールを接続する重要な内部部品です。圧入技術でレセプタクル内に搭載されており、光コネクタとの安定接続を提供します。
ピグテール付き・パイプ付き・TEC融着
ピグテールファイバは同軸型光モジュールやバタフライ型光モジュール、光学機能デバイス製造に必要となります。一方にジルコニアキャピラリを精密な金属パイプに圧入したSUSフェルールの接着・斜め研磨に加えて、もう一方にSCやLC等の光コネクタを取り付けたものです。
パイプ付き技術はファイバ保護を強化するため、パイプを取り付けます。また、TEC融着は融着装置を使用し、放電熱によって光ファイバ同士を接続する技術です。
光インターコネクトまとめ
従来回線の課題解決のためにも、光インターコネクト技術のニーズは増加傾向にあります。とくに、光ファイバ回線はデータ転送速度が速く、大量の情報を効率よく伝送できることから、インターネットインフラやデータセンターでの利用が拡大しています。
また、光ファイバは電磁干渉に対して耐性があるため、信号をほとんど劣化させずに高品質な通信が可能な点はメリットといえるでしょう。光インターコネクト技術は今後も発展が予測され、高速・大容量な通信が必要な現代社会において重要な役割を担っています。
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