Orbray株式会社(旧アダマンド並木精密宝石)ブログ。技術のトレンド、製品のワンポイント、SDGsなどについて紹介していきます。

光スイッチとは

高速大容量光通信に欠かせない光スイッチ
   最終更新日:    公開日: 2021/06

高速大容量光通信に欠かせない光スイッチ

通信ネットワークを構成する機器の1つにスイッチがあります。スイッチは、ネットワーク内のデバイスに接続され、デバイス間でデータを転送する際の通信経路の切り替えをおこなう機器です。送り先のデバイスごとに経路を切り替えてデータを転送することで、ネットワークにかかる負荷を低減させます。

光スイッチは、ネットワークで経路を切り替えるスイッチのように、光信号の通信経路を切り替えます。光信号を電気信号に変換することなく、特定の信号を分岐したり、経路を変更したりすることが可能です。電気信号に変更することなく経路を切り替えるので、光通信の高速性を落とすことなく経路を切り替えることができます。

光スイッチとは

光を用いて高速大容量の通信をおこなう光通信では、通信経路の切り替えにも高速性が求められます。光コネクタを手動で差し替えているようでは、時間がかかり、差し替えミスも起こりやすいです。光信号を一度電気信号に変換し、スイッチのような機器により経路を変更した後、再び光信号に変換して送信するのでは、変換に時間がかかり、通信のボトルネックとなってしまいます。光スイッチは、光信号を電気信号に変換することなく、光信号のまま、特定の信号のみを分岐したり、経路を変更したりすることが可能です。

光スイッチを用いることで、高速性を保ったまま通信経路の切り替えができるだけでなく、光通信の安定性も維持されます。例えば、光スイッチを用いれば、一方のデータ出力経路が障害で断たれたことを検知すれば、10ms以下のわずかな時間で別の出力経路に切り替えることができます。機器のメンテナンスの際にも、全ての光コネクタを差し替える前に、一度光スイッチで全ての経路を切り替え、通信を切ることなくメンテナンスがおこなえます。光スイッチは高速大容量光通信の安定と維持には欠かすことのできないパーツです。

光スイッチの種類と原理

光スイッチは、経路を切り替える原理の違いで大きく3つにわけることができます。メカニカル方式、MEMS方式、光導波路方式の3つです。

メカニカル方式

メカニカル方式は、アクチュエータを使ってプリズムやミラーなどの光学素子を動かすことで、光通信の通信経路である光路を切り替える方式です。例えば図1のように、入力ポートから入ってきた光をプリズムで反射して出力ポート1へ送っていたとします。プリズムをアクチュエータで移動させることで光路の反射方向を変え、出力ポート2へ経路を切り替えています。

光スイッチメカニカル方式
図1:メカニカル方式光スイッチの原理

構造が単純で制御が容易であり、経路を切り替える時だけアクチュエータへ通電すれば切り替えがおこなえるので、電力消費も抑えられます。しかし、移動機構が必要となるため小型化が難しく、一度に数多くの経路を切り替える必要のある大規模通信設備には向きません。小規模な切り替えに主に利用されています。

MEMS方式

MEMSMicro Electro Mechanical Systems)は、フォトソリグラフィやエッチングなどの技術を用いて、シリコンやガラスなどの基盤上に、サブミクロンレベルの精度で機械要素部品やセンサー、アクチュエータなどを微細加工したデバイスです。図2はMEMS方式の光スイッチの一例になります。微細加工された2枚のマイクロミラーを備え、マイクロミラーの角度を制御することで光路の方向を変えて経路を切り替えます。

光スイッチMEMS方式
図2:MEMS方式の光スイッチの原理

MEMS方式の光スイッチは、小型集積化や高速動作が可能であるため、大規模な切り替えにも対応可能です。切り替えをおこなっている間は、基本的に通電が必要なため、常に電力を必要としますが、必要電力が小さいので、省電力化にも対応します。また、非常に微細な部品となるため、製造するには堅牢なMEMSチップ構造をつくる加工技術や、パッケージ化する際の高い溶接技術などが必要となります。

光導波路方式

光導波路方式は、ガラスやシリコン、ポリイミドなどにより基板上に形成された光導波路に対し、熱や光、電気などの外部入力で屈折率を変化させることなどにより光路を変えて切り替える光スイッチです。小型集積化がおこないやすく、高速応答性がありますが、挿入損失などの課題もあります。現在、様々な材料を用いた光導波路方式の光スイッチが研究されています。

より高速、小型化へ

近年、通信は高速大容量化が加速し、通信量も急激に増大しています。光通信においても、長分割多重方式(WDM)の技術などによる通信の大容量化が進めば、より高速の信号処理が求められるようになります。光信号を電気信号に変換して通信をしていては処理が間に合わないため、光信号をそのまま高速で切り替えができる光スイッチが重要となります。 光スイッチは、高速大容量光通信の安定と維持のため、高い信頼性が必要であることはもちろん、低挿入損失、フラットな波長依存損失、低偏光依存損失、低クロストークなどの高い光学特性が必要です。さらに今後は、より高速なチャンネル切り替えや、デバイスの小型化、低消費電力化も求められます。


Orbrayの光スイッチは、低挿入損失、フラットな波長依存損失、低偏光依存損失、低クロストークを達成しており、スイッチング動作においては1ms以下でのチャンネル切り替えを、省スペースなパッケージで実現しております。詳細は以下のページをご覧ください。

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