小型コアレスモーターが生んだ製品
DCコアレスモーターの特徴である、高効率、クイックレスポンスを生かしたヒット商品が生まれました。
1977年ラジコン比例制御サーボ
米国ではKraft社、日本では東京マイクロ社のラジコンサーボ用に初めてOrbray製φ10mm-長さ12mmのコアレスモーターが使用されました。当時は小型モーターを扱っているメーカが少なく、小型サーボ用で、φ10mm 長さ12mmのサイズが重宝されました。RCサーボに求められるモーター特性とは、第一に印加から最高速度に達するまでの時間(機械的時定数)で、10~15ms(0.01~0.015秒)以内が必要とされています。これはOrbray コアレスが最も得意とする性能です。のちにOrbrayのRCサーボ用モーターはブラシレス構造で、7msという常識の壁を打ち破りました。
1977年第一世代のプログラマブルカリキュレータ
ヒューレッドパッカード社 カリキュレータの磁気データストレージテープの駆動用 テキサスインスツルメンツ社 カリキュレータのプリンターペーパーフィード用、いずれも立ち上がりが早いと評価を頂きました。
1979年ポータブルカセットレコーダ
単3電池1本でカセット両面再生を可能にした低消費電力による高効率。
回転ムラによる周波数変化がない、安定した動作。
1980年放送用ビデオカメラ用レンズモーター
世界を席巻している日本製放送用カメラいわゆるENGカメラ用レンズのフォーカス、アイリス調整用モータとして採用。
末永くモーターを採用してもらえる理由は、画像の乱れに直結する電気ノイズが世界一極小だからです。その抑制は放送用カメラにとっては絶対条件なのです。
1985年ポケベル・携帯電話用振動モーター
1983年にモトローラ社からOrbrayに届いた依頼は、「この超小型モーターのシャフトに、アンバランスな重りを取り付けてほしい」という突飛なものでした。
指定された重りの材質はタングステン、比重が大きく硬質で扱いにくい金属ですが同質の超硬合金で時計のケースを生産していた知識と経験を駆使し、指定の材質でその重りを作成することができました。
モーターは通常、スムースな回転及び静音性の高さがメリットです。まさに逆の発想を依頼されましたが、すぐに開発に着手。「どうやらポケベルに使用するようだ」ということに気づいたのは、随分あとのことでした。
モーターシャフトに偏芯した重りをつけ、これを高速回転させると振動に変化します。これが振動サイレントモードの原理です。携帯のポケベルの電源である単3電池は、安定電圧が1.2VDCしかなく、鉄心コイルモーターに分銅を付けては重量が嵩みモーターをスタートできません。そこで、Orbrayは鉄心がなくロータ重量を抑えたコアレスを利用してその分タングステン合金という比重の大きな重りを付けても低電圧で振動させることに成功、こうして世界初の振動モーター技術を確立しました。その後、携帯電話(StarTAC)にも採用され、Orbrayのコアレスモーターは振動デバイスとして、業界のデファクトスタンダードになりました。
φ10mmx12mmというサイズから始まったOrbray振動モーターはダウンサイジングという使命を帯びて次々に進化していきました。
φ7mmx17mm小径にすることでボディを長くし、φ7mmx 12mmしかしボディ長は市場で受けず、5mm短縮。φ6mmx 15mmさらに小型化へ、但し、ボディ長を伸ばす必要がありました。
このあたりからマグネットの必要厚不足によるトルク低下、回転数の上昇をいかに抑えるかの戦いが始まりました。
そこでこれまでのコアレスモーターマグネットの常識を破り、マグネットの円筒形状から空洞をなくす、棒形状(ROD)を考案しました。これによって外径は変えず磁界方向の厚みを増すことができ、その結果、
φ6mmx12mmが誕生。これに6CR(Coreless Rod Mag type)と名付けました。棒状にしたことでサイズはさらにφ4mmx 10mmに至りました
この最終形状4CR-1002は世界最小の振動モータとしてNOKIA社 携帯のほぼすべてに搭載され2004年には年間出荷数が1億個に達し、世界シェアの 40% を占めました。
1988年小型カメラ用モーター
コニカ社デジタルカメラ レンズシャッター用として、7mmモーターが採用。 立ち上がりの良さと静音性はビッグヒットに貢献しました。
2006年高級デジタルカメラに採用
ヨーロッパの超高級カメラシャッターレンズ用として採用。
放送用カメラに搭載されている実績を買われました。
2015年ドローン用カメラジンバル
単3電池1本でカセット両面再生を可能にした低消費電力による高効率。
回転ムラによる周波数変化がない、安定した動作。
2016年ロボット関節用サーボモーター
お客様との開発コラボにより人型ロボットの関節に13個のサーボモーターが搭載されました。小型サーボモーターには市場初となる高耐久クラッチと非接点式の位置決めを実現しています。