光ファイバの研磨加工が抱える課題を解決するため、当社ではレーザ光を用いた新たな光ファイバレーザー加工技術を開発しました。 研磨加工とレーザ加工を比較し、開発したレーザシェイプ加工技術について説明します。
研磨加工の課題
- 外観検査工程を無くすことが出来ない
- 洗浄工程を無くすことが出来ない
- 光ファイバの接着から研磨までの工程を自動機化することが難しい
- 光ファイバ単体で研磨することが難しい
研磨加工とレーザ加工の比較
研磨加工 | レーザ加工 | |
長所 |
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短所 |
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光ファイバ接続のためのレーザシェイプ加工
レーザシェイプ加工装置には、光ファイバ加工に最も適したレーザ光源を採用し、更に、極細な光ファイバを微細加工するためのビーム品質を整える光学レンズ系を組み込むことで、石英ガラス光ファイバ、プラスチック光ファイバを問わず加工が可能です。その光ファイバ端面は、均整のとれた凸状に成型されキズの無い平滑面に仕上がり、研磨加工に劣らない光学性能が得られます。
特徴1)均整のとれた光ファイバ端面形状、キズの無い平滑面
特徴2)安定した光ファイバ接続の光学性能
特徴3)マルチギガビット光通信にも対応
引用文献
IEEE P802.3cz Multi-Gigabit Optical Automotive Ethernet Task Force Sept.2020
End Face Termination for Butt Coupling (GI-POF)
レーザストリップ加工
光ファイバを使用環境から保護している被覆材料ですが、レーザストリップ加工を用いることで様々な被覆材質の除去に対応することが出来ます。
例えば、医療機器で使用される光ファイバは、耐熱性や耐薬品性の面から被覆材質にポリイミドがよく採用されます。
しかし、その特徴がゆえに加熱溶融させて除去することが難しいのです。そのため、現在は危険な薬品を加熱して浸漬することで除去しています。
レーザーストリップの場合は、非常に短時間でポリイミド樹脂の結合状態を分解させるだけのエネルギーを与える事が出来るため、容易に被覆除去が可能です。
更に、中間のストリップの対応も行っており、ストリップの長さや位置も高精度に制御することが可能です。また、メカニカル除去方式はガラス面にダメージを与える可能性がありますが、当社のレーザー除去方法では、光ファイバへのダメージを軽減することが出来るため、ストリップ面が滑らかに形成されます。これにより、ファイバ外周へのメタライズ処理の密着性を安定させる効果も期待できます。
レーザシェイプ加工による光ファイバレンズ成形
レーザシェイプ加工を用いることで、光ファイバの先端を楔形状や円錐形状、先斜形状に加工することが出来ます。これにより、光ファイバから出射するビーム形状を任意の形に成型することが可能です。この光ファイバのレンズ加工は、シリコンフォトニクス、車載通信、医療機器、センサー用途など、様々な分野での利用を想定しております。お客様の仕様に合わせた最適な形状をご提案致します。
その他の光ファイバ特殊加工例
光電融合デバイスと光ファイバの接続で注目される特殊加工技術
NTTが提唱するIOWN®構想における次世代光インターフェースには、大量のトラフィックを処理する高速化と低消費電力化が求められており、それらを具現化する中核技術として光電融合デバイスが注目されています。その光電融合デバイスには、様々なデバイスを高密度に集積化するパッケージング技術が求められ、シリコンフォトニクス導波路やVCSEL・PDチップアレイなどが実装されます。
Orbrayでは、この高密度に集積化されたデバイスに対し、光ファイバを高精度に整列させる技術を持っており、その整列技術とレーザシェイプ加工を組み合わせることで、光電融合デバイスの開発、発展に貢献しています。例えば、光ファイバの端面位置を高精度に揃えて全ての光ファイバに任意の角度を施す先斜加工や、ライトアングルのように光ファイバを曲げて垂直から水平に変換する光ファイバアレイの加工も可能です。
※「IOWN®」は、日本電信電話株式会社の商標又は登録商標です。
※IOWN®は以下ページでも紹介しています。
光電融合、シリコンフォトニクスで必要となる高精度加工技術