小型モーターとは 用途と必要技術
モーターには様々な種類があり、使用する電源や構造、サイズ、出力、用途など、モーターの持つ特性により分類されます。その中で、小型モーター、超小型モーターに分類されるものは、各種精密機器、ロボット等に幅広く利用されています。
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電源、構造によるモーターの分類
モーターを使用する電源で分類した場合、交流電源で動作するACモーターと、直流電源で動作するDCモーターに分類できます。ACモーターは、ポンプや搬送用コンベアなどの工場設備用の大型モーターに多く使われています。家電や電気自動車などにも使用されており、サイズとしては比較的大きなものが中心です。DCモーターは、小さなサイズのものが多く、小型の家電や模型、電子機器等、様々な製品に幅広く使用されています。
DCモーターは、ブラシ付DCモーターとブラシレスDCモーターに分類できます。
ブラシ付DCモーター
ブラシ付DCモーターは、銅線を巻いたコイルによる回転子(ロータ)と、磁石による固定子(ステーター)で構成されています。コイルの端は接点となる整流子に接続されています。整流子はブラシと接触しながら回転することが可能です。ブラシには直流電流が流れており、整流子がブラシと接触している際にコイルへ電流が流れて磁力が発生し、固定子と反発、または引き寄せられることでロータが回転します。ロータが回転することで整流子が周り、電流が流れるコイルが次々に変わっていきます。これにより、電流が流れている間はロータが回転し続けます。
ブラシ付DCモーターは、回転させるための構造がシンプルで、駆動用回路が不要です。扱いが容易ですが、ブラシと整流子が接触しているので摩耗が生じます。定期的にブラシを交換する場合もあります。接触部分での音やスパークによる機械的、電気的なノイズも発生しやすくなります。
ブラシレスDCモーター
ブラシレスDCモーターは、ブラシと整流子を無くし、磁石によるロータと、コイルによるステーターが設けられています。中心にあるロータの周りにステーターを配置させてロータを回転させる、またはステーターの周りにロータを配置してステーターの周りをロータが回転する、いずれかの構造をもっています。回転させるには、コイルへの電流の流れを切り替える駆動用回路が必要です。 コイルによる発熱が起こるステーターが外側に配置されたブラシレスDCモーターは、放熱性に優れています。接触部分が無いので、摩耗による部品メンテナンスが不要かつ長寿命であり、ノイズも抑えられます。また、電気的接点が無いので大電流を投入しやすく、ハイパワー化の実現も可能です。
また、内部の構造により、コアレスモーター、ギヤードモーターなどの分類もあります。
コアレスモーター
ブラシ付きDCモーターの中で、コアレスモーターは、コイルを巻きつけているコアをロータから無くしたモーターです。コイルを作る銅線を籠型に形成することでロータを作ります。ロータの内側に置いた磁石の周りをロータが回転する構造です。
コアが無くなるのでロータが軽くなり、慣性モーメントが小さくなるので起動や応答が早くなります。また、金属製のコアが無いので、コアと磁石が引き合うことで起こるコギングが発生しません。回転がスムーズになり、振動や騒音が小さくなります。ロータがコイルのみで形成されるので、モーター自体の小型軽量化も可能です。
ギヤードモーター
ギヤードモーターは、モーター回転軸に減速ギヤを組み合わせて一体化したモーターです。減速ギヤにより、モーター単体以上の低速回転、高トルクを発揮できます。
小型モーターの用途と必要技術
モーターを出力で分類した場合は、出力の小さいモーターを小型モーターと呼びます。一般に出力が75W以下程度のものは小型モーターとされ、3W以下になるものは超小型モーターと呼ばれます。回転させる電力も小さく、乾電池程度の電力でも回転させることが可能です。小型のため、ACモーターで使用される100V以上の高電圧では、モーターの構造内で漏電、引火などの危険性があるため、DCモーターを用いるものが多くなります。
サイズとして小型のものでは、外径1mm以下の非常に小さいブラシレスモーターも開発されています。機械的な機構を持つギヤードモーターについても、微細加工による部品を用いることで、外径が数mm程度の非常に小さいモーターおよび減速ギヤが実用化されています。
小型モーターの用途としては、音響映像機器や医療機器、通信機器、測定器、ロボットなど各種あります。ロボットには、小型、高出力のモーターを用いたサーボモーターが、関節の駆動に多く用いられます。小型で低消費電力であり、立ち上がりが早く回転ムラの少ない小型モーターは、ポータブルカセットレコーダーやカメラなどの小型機器に用いられてきました。小型モーターの中でも、回転するシャフト部分が中空に形成された中空シャフトモーターは、マウンタヘッドや配線スペースの限られた超小型マニピュレータに用いられています。シャフト内に光ファイバー等のケーブルを通すことができるので、超小型アクチュエーター機構を構築することも可能です。
小型モーターは、内部構造も小さくなるので、高いトルクや安定した回転を得るためには、各部品に対して高い性能が必要です。例えば、小さく、薄くても高い磁力を発生させる磁石や、極細線を高効率となるように最密に巻いたコイルは、高トルク、低消費電力の小型モーターを作るためには欠かせません。これらを作るには、高磁力磁石を作る技術と、巻線ノウハウ、巻線機の技術が必要になります。他にも、小型のギヤードモーターに使われる各機械部品は、サブミリメートルサイズとなる場合もあり、新材料と、精密金型を用いた射出成型技術が用いられています。
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