ブラシレスDCモーターとは?構造や回る仕組み、用途を解説

産業用ロボットや医療機器、ドローン、家電のファンなど、身近にある多くの機器でブラシレスDCモーター(BLDC)が活躍しているのをご存じでしょうか。
ブラシレスDCモーターは、長寿命・高効率・精密制御という強みを備え、幅広い分野で採用が進んでいます。一方で、その内部構造や回る仕組みまで体系的に理解している方は意外と少ないかもしれません。
本記事では、ブラシレスDCモーターの基本構造から回転の原理、特徴までわかりやすく解説します。
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ブラシレスDCモーターとは?
ブラシレスDCモーター(BLDC)は、ブラシを持たないDCモーターです。コイルへ電流を供給するブラシと、電流の向きを切り替える整流子を取り除き、機械的な接触部分をなくして電子回路でコイルへの通電を制御します。

ブラシレスDCモーターの基本的な構成は、コイル(巻線)を備えた固定子(ステーター)と、永久磁石を備えた回転子(ローター)です。これはブラシ付きDCモーターとは固定子・回転子それぞれが担うパーツ(コイルと磁石)が逆になった構成です。
ブラシレスDCモーターを適切なタイミングで駆動するには、ローター(永久磁石)が今どの位置にあるかを検出する必要があります。
この位置検出の方式には、大きく分けて2つの方式があります。
1つは、ホールICなどのセンサーで永久磁石の位置を直接検出する方式です。
もう1つは、物理的なセンサーを使わない「センサレス」方式です。ローターが回転すると、通電していないコイルにもわずかな電圧が発生します。この電圧の変化を回路が読み取ることで、センサーがなくてもローターの位置を推定できます。
ブラシレスDCモーターは、ブラシの摩耗がないため寿命が長く、エネルギー変換効率に優れ、回転速度を精密に制御できる点が魅力です。ただし、直流電源をつなぐだけでは回らず、電流の向きを切り替える専用の駆動回路が欠かせません。
ブラシレスDCモーターの基本構造
ブラシレスDCモーターは、ローターとステーターの配置によって、大きく次の2タイプに分けられます。
- インナーローター型
- アウターローター型
インナーローター型は、ローターが内側・ステーターが外側に配置された構造です。ローター径が小さく慣性モーメント(回転体の動かしにくさを表す量)も小さいため応答が速く、高速回転が求められる用途で採用されやすいといえます。
アウターローター型は、ローターが外側・ステーターが内側に配置された構造です。ローターの回転半径が長いので大きなトルクを発生させることに適しています。回転が安定しやすく、外殻にファンの羽根を直接取り付けられることから、ファンなどで広く使われています。
ブラシレスDCモーターの磁石の配置
永久磁石の配置方法には、主に次の2種類があります。
- 表面磁石型(SPM)
- 埋込磁石型(IPM)
表面磁石型(SPM)は、ローター表面に磁石を貼り付けた構造です。比較的シンプルで制御しやすい反面、高速回転時には遠心力で磁石が剥がれないよう保護する工夫が求められます。
埋込磁石型(IPM)は、ローター内部に磁石を埋め込んだ構造です。磁石が生むトルクに加え、リラクタンストルク(磁気の通りやすさの差から生まれる力)も活用できるため、高効率・高出力が求められる用途で採用されやすいといえます。
なお、Orbrayのブラシレスモーターは、SPMに近い構造を採用しています。鉄心に磁石を貼り付けるのではなく、円筒形の磁石そのものがローター本体となっているのが特徴です。
ブラシレスDCモーターで使われる位置センサー
位置センサーには、次のような種類が使われています。
- ホールIC
- レゾルバ
- ロータリエンコーダ
- ポテンショメータ
ホールICは、磁界の変化を検出してローターの位置を把握するセンサーです。安価で小型なうえ非接触のため、耐久性にも優れます。
レゾルバは、電磁誘導を利用してローターの角度を検出するセンサーで、熱・振動・油に強く過酷な環境でも安定して動作します。
ロータリエンコーダは、回転軸の回転量・回転角・回転位置を電気信号として出力するセンサーです。回転の変化量を読み取るインクリメンタル型と、絶対的な位置を読み取るアブソリュート型があります。
ポテンショメータは、回転角度に応じて出力電圧が変化するセンサーです。構造がシンプルで安価な反面、摺動接点による摩耗があり、検出できる回転範囲も限られるため、ロボットの関節やバルブの開度制御など、回転範囲が限定される位置制御に用いられます。
ブラシレスDCモーターが回る仕組み
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ステップ1U相+・V相-
→磁界は上向き

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ステップ2V相+・W相-
→磁界が120°回転

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ステップ3W相+・U相-
→磁界がさらに120°回転

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ステップ4再びU相+・V相-へ
→切り替えを繰り返して周り続ける
ブラシレスDCモーターは、次の流れで回転します。
- ステーターの3つのコイル(U相・V相・W相)に、順番に電流を流す
- コイルが作る磁界の向きが次々と切り替わり、回転磁界が生まれる
- ローターの永久磁石が、この回転磁界に引き寄せられて追従回転する
ポイントは、通電するコイルを切り替えるタイミングです。位置センサーやセンサレス制御でローターの位置を把握し、その情報に応じて電子回路が通電するコイルを次々と切り替えます。これによりローターは滑らかに回り続けます。
ブラシ付きモーターでは、電流の切り替えをブラシと整流子が機械的に担っていました。ブラシレスDCモーターでは、電流の切り替えを電子回路が担う点が大きな違いです。
なお、電流の流し方には、2相ずつ切り替える120度通電(矩形波駆動)と、なめらかに電流を変化させる正弦波駆動があります。正弦波駆動のほうが振動や騒音を抑えやすいという特徴があります。
ブラシレスDCモーターの特徴
ブラシレスDCモーターの代表的な特徴を、次の3つの観点から紹介します。
- 長寿命で保守負担を抑えやすい
- 高効率で高速回転に対応できる
- 速度を精密に制御しやすい
長寿命で保守負担を抑えやすい
ブラシレスDCモーターは、ブラシと整流子という摩耗する部品を持ちません。そのため、定期的なブラシ交換が不要で、寿命を左右するのは主にベアリング(回転軸を支える軸受)のみとなります。
ブラシ付きモーターと比べて寿命が長く、メンテナンスの手間を抑えやすい点が大きな強みです。連続運転が必要な設備や、保守が難しい場所に設置する機器でも、安定して使い続けられます。
高効率で高速回転に対応できる
ブラシレスDCモーターは、エネルギーの変換効率に優れています。ブラシ付きモーターは、ブラシと整流子が常にこすれ合いながら電流を流すため、その摩擦が熱となってエネルギーを損失させています。ブラシレスDCモーターにはこの機械的な摩擦がないため、電力をロスなくモーターの回転力に変えやすいのです。
この機械摩擦がないという特性は、高速回転時の安定性にもつながっています。接点が擦れ合わないため発熱や摩耗が少なく、回転数を上げても安定して動作します。加えて、コイルをケースに密着させて固定するタイプであれば熱を逃がしやすく、大きな電流を流したハイパワーな設計にも対応しやすくなります。
速度を精密に制御しやすい
ブラシレスDCモーターは、回転速度を精密かつ安定して制御しやすいという特徴があります。
ブラシ付きモーターは、使用にともないブラシが摩耗し、接触状態が変化していくため、時間が経つと回転特性が徐々にズレていくことがあります。ブラシレスDCモーターには機械的な接点がなく、この特性の変化が起きにくいため、長期間にわたって狙った速度を安定して維持しやすいのです。
また、ブラシの跳ねや火花放電といった制約がないため、より高速な回転域まで乱れなく制御できる点も強みです。
Orbrayのブラシレスモーターは、ステーターにスロット(磁気コアの隙間)を設けないスロットレス構造を採用しています。これにより、磁石がコアに引き込まれて起こる回転ムラ(コギング)が生じず、低速でもなめらかに回転します。回転の安定性や静粛性が重視される、ロボットや医療機器などの用途にも適しています。
まとめ|ブラシレスDCモーターは長寿命・高効率
ブラシレスDCモーターの強みは、長寿命・高効率・精密な速度制御の3点です。摩耗する接点がないため寿命が長く、高い効率で高速回転にも対応できます。一方で、駆動には専用の回路が必要になる点は弱みといえるでしょう。
Orbrayのブラシレスモーターは、こうした強みをさらに高める独自技術を備えています。自社開発の巻線機でコイルを高密度に巻くコアレス巻線により、トルク定数の向上と低消費電流を両立しました。また、磁石を2極から4極にしたB4Sシリーズでは、有効磁束面積を増やして高トルク化を実現しています。
外径φ4mmという小径ブラシレスモーターを標準品としてラインアップしており、量産できるのは世界でも数社のみです。携帯型医療機器など、限られたスペースでも高い性能が求められる用途に採用されています。
モーター選定でお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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