Orbray株式会社(旧アダマンド並木精密宝石)ブログ。技術のトレンド、製品のワンポイント、SDGsなどについて紹介していきます。

巻線ノズルとは モーターコイル巻線工程に欠かせない部品

多くのモーター製造に使用される巻線ノズルとは
   最終更新日:    公開日: 2021/07

電車や家電、OA機器、産業機械など、現代社会ではモーターを使った機器が数多くあります。モーターは、絶縁被膜を持つ金属線を巻いて作られるコイル(巻線)が用いられています。近年では、電気自動車の普及による高性能高出力モーターの需要拡大など、従来よりも遥かに高い品質、性能を持ったコイルの製造要求が高まってきました。

コイルを用いたモーター製造に欠かせないのが巻線ノズルです。高品質、高性能のモーターに巻線を行うためには、巻線ノズルにも、精度や耐久性、耐摩耗性などにおいて高い性能が求められます。

巻線ノズルとは

コイルは、絶縁被膜を持つ銅やアルミなどの金属線を、隙間なく均一に巻いたものです。電気を流すと磁界を発生させたり、逆にコイル内の磁界を変化させると電気が発生したりするなど、様々な電気的特性を持っています。モーターは、コイルの持つ電気的特性を活用して、電気エネルギーを回転や直進、振動などの運動エネルギーに変換しています。

コイルの持つ電気的特性

モーターは、構造や原理により各種あります。

ブラシモーター

巻線ノズルとブラシモーター

ブラシモーターは、電力を供給するブラシに接触する整流子により、コイルに流れる電気の方向を切り換えながら回るモーターです。駆動用の回路が不要で制御がしやすく、応答性もよい反面、ブラシと整流子が摩耗するので寿命が短くなります。また、整流子との接点が切り換わる際にスパークによる電気ノイズや、摩擦による騒音が発生しやすいです。

ブラシ付きコアレスモーター

ブラシ付きコアレスモーターは、銅線だけで形成されたカップ状コイルのローターが、中心に配置した円柱状の磁石の周りを回転するモーターです。ローターにコアとなる鉄心が無いので軽く、慣性モーメントが小さくなり、応答性、加速性に優れています。また、コアが無いので、磁石からの吸引作用による振動(コギング)が発生せず、滑らかで振動や騒音の少ない回転が得られます。

ブラシレスモーター

巻線ノズルとブラシレスモーター

ブラシレスモーターは、ドライバ回路によりコイルに流れる電流を制御することで、コイル内に配置された回転子となる磁石を回転させるモーターです。コイルはコアの無いものと、鉄心などのコアに巻かれたものがあります。ブラシがないので摩耗が少なく長寿命になり、接点が無いので大電流での駆動にも対応しやすいです。駆動には専用の制御回路が必要になります。

巻線の写真

コイル(巻線)はモーターに欠かすことのできない部材です。コイルは、巻線機によって製造されます。巻線機に欠かせないのが、金属線を送り出す際に用いられる巻線ノズルです。巻線機は、リールに巻かれた金属線を、ベアリングローラー(巻線ガイド)を経由して巻線ノズルへ送ります。巻線ノズルを通った金属線は、巻線ノズルまたはコイルのコアとなる部材が回転することで巻かれていきます。金属線に所定の力をかけながら、微小な一定のピッチで巻き付ける位置を動かしていくことで、巻線機は金属線を細かく均一に巻くことができます。コイルは巻いている線の巻き数や、巻いている密度が大きいほど磁場が強くなるなど、巻き方により性能が左右されるので、使用する金属線の性質はもちろん、巻線機や巻線ノズルの性能も、コイルの性能に大きく影響します。

巻線ノズルに求められる耐久性や耐摩耗性

コイルの性能は、金属線が巻かれている状態で大きく変わるので、高密度でより均一に巻かれていることがなによりも重要です。巻線機は、高密度で均一に巻くため、金属線に高いテンションをかけ、正確に位置を送りながら巻いていきます。また、生産性を上げるためにも、より早く金属線を送り出して高速に巻きつけることも必要です。

このため、巻線ノズルには、金属線から常に強い力がかかり、高い摩擦力が巻線ノズルと金属線の間に発生するので、先端部から磨耗が進行し、キズや曲がりが発生します。摩耗したり、曲がったりした巻線ノズルで巻線をおこなうと、金属線が断線したり、正確な位置に巻けず、重大な製品欠陥となります。また、摩耗してできたキズにより、金属線の絶縁被膜にピンホールやキズが発生すれば、モーターの出力低下へ繋がるなど、重大な問題にもなります。

巻線ノズルに求められる耐久性や耐摩耗性(両端にルビーとセラミックを使用した図面)

巻線ノズルには、強い力や摩擦力に対する耐久性や耐摩耗性に優れていることが必要です。耐久性や耐摩耗性に優れた高い硬度を持つ素材を用いることや、摩擦抵抗の小さい素材を用いることが求められます。また、巻線ノズルの両端出入口のR形状や、孔内部の表面粗さなど、摩擦力を減らすため、より滑らかに加工されていることも重要です。更に、正確に金属線を送り出すため、ノズル孔精度も高精度でなければなりません。巻線ノズルの製造には、素材の選定から加工技術まで、高度なものが求められます。

巻線ノズルの種類と特徴

巻線ノズルに使用される素材には大きく分けて3つあります。ルビーセラミック超硬の3種類です。

巻線ルビーノズル

巻線ルビーノズル

金属線の出口先端部、または両端出入口部にルビーを用いた巻線ノズルです。ルビーダイヤモンドに次ぐ硬さを持ち、耐久性、耐摩耗性に優れており、長期間継続的に使用できます。摩擦抵抗も小さいので、巻線時に金属線を傷つけずに滑らかに送ることが可能です。断線、ピンホール、キズなどの発生が少なく、高品質を保ちます。極細線にも対応できますが、ルビーに微細で滑らかな孔やR形状を形成するには高度な加工技術が必要となります。

巻線セラミックノズル

巻線セラミックノズル

ノズル全体をセラミックにしたセラミック一体型の巻線ノズルです。高品質のセラミック材料を用いることでルビーに近い耐摩耗性を持っております。また、当社の精密成形・加工技術により微細な孔や、内径から先端部にかけて滑らかなR形状を形成することが可能です。

巻線超硬ノズル

巻線超硬ノズル

超硬を用いて作られた巻線ノズルです。微粒子の超硬材種を選定することで面精度、耐久性が高く、高テンションの巻線や太線への巻線に用いられます。

 

各タイプ別特性比較

特徴項目ルビーノズルセラミックノズル超硬ノズル
ワイヤーへの抵抗/負荷が小さい
耐摩耗性
細径ワイヤーへの対応
太線用
ワイヤーの通しやすさ
特殊仕様対応

Orbray巻線ノズルの詳細についてはホームページに掲載しております。

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