半導体の歴史と進化!日本における半導体産業や将来の展望も紹介
20世紀に登場した半導体は、パソコンやスマホなどの情報機器や家電製品など身の回りのあらゆる電気機器に利用されており、すでに半導体のない生活は考えられません。この記事では、半導体が誕生し普及に至るまでの歴史と現状、そして今後の展望を説明します。
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半導体の開発と発展の歴史
半導体素子が登場して約70年。この短い期間に半導体は目まぐるしい発展を遂げてきました。ここでは半導体の登場以前から、どのように開発され発展してきたかを紹介します。
真空管の時代
1904年、ジョン・アンブローズ・フレミングがエジソン効果を応用した「二極真空管」を発明します。この二極真空管の発明により、電気の流れを整流して安定的に電波を検出することが可能になりました。
その後、増幅機能を持つ三極管をはじめさまざまな種類の真空管が登場し、電話や無線、初期のコンピュータなどに使用され、多くの新しい技術や製品を生みました。
しかし、真空管はフィラメントが発熱することにより動作するため放熱対策が必要です。放熱対策の空間が必要なことや真空管そのものの大きさのため、製品の小型化が難しいという問題がありました。また、電力消費が大きく、寿命が数千時間程度に限られるなどの欠点がありました。
トランジスタの開発
トランジスタは増幅機能を持つ基本的な半導体素子のひとつです。1947年にアメリカのベル研究所でバーディーンとブラッテンがトランジスタの開発に成功しました。翌年にはショックレーによって改良された接合型トランジスタが開発され、徐々に真空管に変わり半導体が使用されるようになります。
真空管よりも大幅に小型化したトランジスタを採用することで、機器サイズの小型化に成功し携帯ラジオなどが登場しました。また、半導体素子の開発で、コンピュータの飛躍的な進歩がはじまります。
トランジスタが世界に与えた影響は非常に大きく、開発にかかわったバーディーン、ブラッテン、ショックレーの3人は、1956年にノーベル物理学賞を受賞しています。
集積回路の開発と発展
1958~1959年、キルビーやノイスによって、複数の半導体素子を組み合わせた集積回路(IC)が開発されました。集積回路(IC)はトランジスタをはじめとしたさまざまな機能の電子部品を、ひとつのシリコン基板の上に組み合わせた電子部品のことです。
トランジスタの開発で多くの電気機器の小型化が進みましたが、配線やコンデンサなどの大きさには変化がなく、さらなる課題が残っていました。しかし、集積回路が開発されたことで、より小型で高性能な電子機器が製造できるようになりました。
その後、集積回路はより多くの素子を組み込まれるようになり、大規模集積回路(LSI)、VLSI、ULSIと急激な発展を遂げていきます。
日本における半導体産業の歴史
戦後、日本でも半導体の製造が始まり、高度経済成長に伴い一大産業となっていきました。ここでは、日本における半導体産業の歴史を黎明期から現在まで3つの時期に分けて紹介します。
日本半導体産業の躍進
1950年代ソニーは、トランジスタの製造特許を持つベル研究所の親会社であるウェスタンエレクトリック社より特許を取得、ゲルマニウムトランジスタを生産し、日本初のトランジスタラジオを発売しました。これが、日本半導体産業の始まりです。
高度成長真っただ中の1960年代には、半導体製造メーカーが次々と誕生し半導体を使用した独自の電子機器の製造が盛んになり技術や品質向上に取り組みました。
この頃は特に、電卓用集積回路の需要が高く、各日本メーカ―の集積回路生産量の約50%を占めていました。1970年代には、メモリチップやマイクロプロセッサなどの高度な半導体製造技術を確立し、日本は国際競争力を高め、世界シェアの約半分を占めるまでに躍進していきます。
日米半導体協定と業界の苦悩
1970年代までは米国が世界最大の生産国かつ輸出国でしたが、1981年には日本が米国の輸出を上回ります。世界的に大きな力を持つようになった日本半導体産業に対し、米国をはじめとした欧米諸国は難色を示しました。そのため、ダンピング提訴が複数起こされるなど、多くの圧力を受けます。
1986年には「日米半導体協定」が結ばれました。協定では米国政府は進行中のダンピング調査を中断するかわりに、日本市場へのアクセスの改善、ダンピングの防止といった内容が定められ、日本半導体産業は苦しい立場になります。米国は日本において20%のシェアを欲していると言及されていました。
さらに、1990年には韓国や台湾などの新しい企業が市場に参入し、より激しい競争にさらされていきます。
半導体製造技術に優れる日本
日本の半導体産業における国際的なシェアは最盛期に比べ約1/5と縮小していますが、半導体製造技術では未だ世界をリードする高い技術力を誇ります。
半導体製造装置では、日本メーカーが未だ大きなシェアを握っており、2023年の売上高ではトップ15位までに日本企業が7社ランクインしています。主要な半導体製造装置メーカーの海外売上比率は80%を優に超えており、海外の半導体メーカーも多くの日本製の半導体製造装置を使用しているのです。
また、半導体素子・集積回路の製造に欠かせないレジスト(感光材)や各種プロセス薬液、超純水を提供する優秀な化学メーカーやプラントメーカーも日本に多数存在し、いずれも世界的に高いシェアを持っています。
このように、半導体製造技術において、日本は現在でも高い競争力を持っているのです。
急拡大する半導体利用
半導体素子は誕生以来さまざまな電気機器に使用されてきました。半導体素子の使用範囲は非常に広く、身の回りのあらゆるものがインターネットに接続されるIoT化などにより、今後さらに急拡大してくことが予想されています。
半導体利用の現状
パソコンやスマホといった情報機器をはじめ、家電製品、車など身の回りのあらゆる電気機器に半導体素子が使われています。小型でも高度な処理ができる集積回路が開発・製造され、多くの電気機器が組み込みコンピュータにより制御されているのです。
現在は、半導体利用の拡大に対し社会情勢の悪化により供給量が低下し、世界的な半導体不足が起きるなど、半導体素子を確保する重要性がより高くなっています。
半導体利用の将来的な展望
集積回路におけるプロセスルールの微細化が進むことによりコンピュータの小型化・高性能化が進んでいます。情報機器だけでなく、さまざまなものにコンピュータを組み込んで利用することが可能です。
今後はIoT化により、家電製品をはじめ、現在は電子化されていない家具やメガネなどの装飾品などあらゆるものに電子部品が組み込まれると言われています。これにより、半導体の必要性は飛躍的に高まることが見込まれます。
まとめ|進化する半導体関連技術
プロセスルールの微細化による集積回路の小型化と高性能化を進めるには、半導体素子だけでなく、その実装などの関連技術の進化も必要です。Orbrayでは、以下の製品を提供することで、この技術進化をサポートしています。
半導体素子の微細化と集積回路の小型化対応:
ワイヤーボンディング工程で使用する、細いワイヤーに対応するキャピラリー
微細加工に対応できる精密ノズル
半田ボール搬送用ノズル
小型化された半導体素子の実装:
精密ノズル・微細吸着コレット
また、次世代のパワー半導体や高周波デバイスの開発に向けて、以下の製品や技術も提供しています。
各種基板(サファイア、ダイヤモンド)
加工技術(GaNやAlNの研磨)
OrbrayのNaphiaシリーズはこちら。
https://orbray.com/product/jewel/product/sapphire-product.html
キャピラリーはこちら。
https://orbray.com/product/jewel/product/capillary.html
受託研磨加工はこちら。
https://orbray.com/product/jewel/technology/wafer-processing.html
ダイヤモンド基板はこちら。
https://orbray.com/product/jewel/material/diamond.html
精密ノズルはこちら。
https://orbray.com/product/jewel/product/precision-nozzle.html