Orbray株式会社(旧アダマンド並木精密宝石)ブログ。技術のトレンド、製品のワンポイント、SDGsなどについて紹介していきます。

ギヤードモーターとは?

   最終更新日:    公開日: 2024/05

電動モーターにギヤヘッドを組み合わせたものは、ギヤードモーターと呼ばれます。ギヤヘッドは、モーターの出力トルクを高め、モーターのシャフトの回転速度を減速することを目的としています。適切なサイズと構造のギヤヘッドを選択することで、最小限の効率損失で希望の出力速度とトルクを得ることができます。

ギヤードモーターが使用する電源は、ギヤヘッドに取り付ける電動モーターの種類によって、DC(直流)またはAC(交流)のいずれかになります。

このブログでは、ギヤードモーターについて理解していただくために、ギヤードモーターの種類、利点、動作原理について説明します。

ギヤードモーターの種類

ギヤードモーター

まず初めにギヤードモーターの種類を紹介します

スパーギヤードモーター

スパーギヤの歯車は一般的に、軸に平行した歯が放射状に配置されています。入力側の小さな歯車が出力側の大きな歯車に1段あたり1か所で嚙み合っています。この歯車同士の噛み合いにより、回転数(RPM)が減少し、トルクに変換されます。

スチール、真鍮などの材料から用途に合わせて選定されます。

スパーギヤードモーターは一般的に、機械的な騒音が少なく、モーター単体よりも高いトルクを良い効率で得られます。

スパーギヤードモーターは、自動車システムからコンベヤーシステムに至るまで、さまざまな産業で使用されています。主な用途としては、ベルトコンベヤーへの動力供給、ロボットアームの動作制御、シート調整、パワーウィンドウなどの車両等で採用されるケースがあります。

遊星ギヤードモーター

名前の通り、遊星ギヤードモーターは中心のサンギヤ(太陽ギヤ)の周囲を遊星ギヤが回転します。遊星ギヤの外側には、内側に向けられた歯を持つリングギヤがあり、キャリアに配置された遊星ギヤと噛み合うことでサンギヤの周りを回転させます。

遊星ギヤは、スパーギヤと比較して、同等の体積でより高いトルクとパワーを出力できるように設計されています。遊星ギヤには、バックラッシュが少ないという利点もあります。

遊星ギヤヘッドの歯数やサイズは、出力の速度とトルクに応じて設計されます。スパーギヤは噛み合いが1つの組み合わせにつき1か所に対し、遊星ギヤは複数箇所で噛み合い、力を分散するため、耐久性と寿命が向上されます。負荷容量も大幅に増加します。

ギヤードモーターの利点

モーターに直接接続されたギヤヘッドから構成されており、モーターのピニオンがギヤヘッドの入力ギヤに直接噛み合う構造を持つため、余分な部品が排除されます。その結果、システムの軽量化、効率化、部品点数の削減を実現します。

その他のギヤードモーターの利点は以下の通りです。

コストパフォーマンス

ギヤードモーターは一体化されているため取り換えが容易であり、メンテナンス等の簡素化に繋がります。

トルクの向上

モーターの高速・低トルクの回転を低速・高トルクに変換するため、高い要求トルクを必要とする用途に最適です。モーターのサイズと仕様は用途によって異なります。大型のモーターはエレベーターやコンベヤーに使用されます。一方、医療機器や光学機器では、その用途の性質上、より小型で精密なモーターが必要とされます。

減速機能

ギヤードモーターに搭載されるギヤは、出力トルクを増加させると同時に出力速度を低下させるため、減速機と呼ばれることもあります。通常、モーター単体は低回転域において非効率であるため、この減速によってシステム性能が向上します。

省スペース

ギヤードモーターは、小型ながら必要なトルクを出力し、限られたスペースで搭載することができます。

ギヤードモーターの用途

ギヤードモーターは、高い出力トルクと低い出力軸回転速度を必要とする用途に特に適しており、また、限られたスペースと電力で使用されます。これにより、多くの分野における用途・機器をカバーすることができます。

ロボット

ギヤードモーターは、ロボット産業において、特に腕や手足などのさまざまな関節を作動させるために広く使用されています。ロボットハンドでは、モーターが搭載されたはアクチュエーター機構により、自由度の高い動きを可能にします。ロボットハンドが重い荷物を持ち上げたり支えたりする場合は高トルクを要求されます。高い耐久性は、繰り返される動作による摩耗や損傷に対抗し、機械の長寿命に貢献します。

これらのモーターは、多関節ロボットとそのエンドエフェクタの重要なコンポーネントでもあり、制御された速度で特定の方向に動作させることを可能にします。

半導体・電子部品製造

ギヤードモーターは、半導体・電子部品製造でも広く採用されています。

部品を搬送・配置するにあたり、正確な位置決め精度が求められるため、精密加工されたギヤを用いたギヤードモーターが必要になります。

半導体や電子部品の実装工程においては、部品を配置するためのマウンターを駆動するモーターは重要な役割を果たしています。部品の小型化に伴い、搭載されるモーターの小型化も進んでいます。

医療機器

その高い信頼性から、内視鏡薬液ポンプなど、多くの医療機器にギヤードモーターが使用されています。

医療機器では静音性が要求され、素材を樹脂にするなど静音性に特化したギヤを用意する必要があります。

まとめ

ギヤードモーターは、用途に応じてさまざまな種類が必要とされます。機器を長期間、円滑に稼働させるために、Orbrayのギヤードモーターは、用途に応じた様々な構成を選定しています。サイズは4mmから対応可能です。

医療機器や防犯カメラ、ドローン、防塵マスクなどOrbrayはあらゆる用途のご要望に応じたギヤードモーターをご提案いたします。ご検討の際には、ぜひお問合せください。

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