SDGsの取り組み ~親子で災害サバイバル術を身に付けるワークショップ
代表取締役社長 並木 里也子
少し前になりますが、親子でリーダーシップやサバイバル術を身に付けることを目指すワークショップを開催しました。最近、地震や大雨による災害が多発しており、物流が途絶え、食料品やさまざまな物資が足りない時に、そこにあるものを工夫して利用することはとても大切なスキルだからです。
友人の山岳ガイドで新潟県南魚沼市議会議員として実際の災害現場でアドバイザーもしている永井たくみ氏を講師にお招きし、幼稚園児から中学生のお子さんとその親御さんを対象に、プロの目線から「災害時におけるリーダーシップとは?生き抜くために必要なスキルとは?」というテーマでお話をしていただいた後、大自然の中でゲームを交えたワークショップを行いました。
プログラムには以下のような課題を盛り込みました。
- 缶切りを使わずに缶詰を開ける
- はさみやナイフを使わずにロープを切る
- 段ボールでベッドやシェルターなど休める場所を作る
- 紙で薪を作る
- ペットボトルで浄水器を作る
- ビーコンの情報を読んでトレジャーハントをする
*ビーコン=電波を発するチップの位置情報を表示する装置
中でも面白かったのは、段ボールを使ったシェルター作り。あるチームはベッドヘッドを作りました。枕を作ったチームもありました。狭い避難所でプライバシーを保てる、くつろげる場所を作るというだけでなく、ベッドヘッドに絵を描くなど少しでも避難されているみなさんの気分を明るくしたいという優しい気持ちと豊かな発想があふれていました。時間切れギリギリに思いついたと言って大急ぎて布団まで作っていました。子どもたちなりに被災地の状況や被災者の気持ちを想像しながら作っていたのだと思います。
プロのアドバイザーである永井氏も、子どもたちだけでこれほど多様なアイデアを思いつくことができたことに驚いていました。これらはどれも実際の避難所で作られたことがあるもので、まさに避難所のニーズを反映した避難者の知恵の結晶のようなものだったのです。
特に、この3つの中の1つは、避難所での盗難を少なくすることに役立ちました。
皆さん、何だと思われますか?
正解は枕です。
どのアイデアも避難所での生活のストレスを和らげるのに役立ちました。ベッドヘッドは個人のプライバシーを守るのに有効ですし、布団は段ボールの構造上、断熱効果が高いため寒冷地では非常にありがたがられたそうです。そして、枕は寝心地を良くすることに役立ったことは言うまでもありませんが、それだけでなく、枕を置くことで自然に一人ひとりの縄張りが確保され、盗難が減ったのだそうです。
今や災害は今まで起きたこともないところで起きており、いつ自分が巻き込まれてもおかしくありません。災害を「自分ごと」として考えなければならない時代なのです。
「どんな世の中でも生き延びてほしい。何かあった時には、指示を待たずに自分で考えて動けるリーダーになってほしい」 これが私の子育てのモットーです。
この親子リーダーシップ・サバイバル・ワークショップは、こうした私の想いを少しでも多くの子供たちに伝えられたらと思って企画しました。
道具を使わずに缶詰を開ける驚きの方法などは、いつか皆さんとも一緒に考える機会を作りたいと思っています。
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