新たなブランドイメージは、どのようにつくられたか。デザイナー タルマユウキ氏 との対談

Orbray's Future,Vol. 2

OrderDesignStudio株式会社 代表 タルマユウキ氏
代表取締役社長 並木里也子

アダマンド並木精密宝石株式会社は、
2023年1月1日から社名をOrbray株式会社に変更します。

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アダマンド並木精密宝石からOrbrayへの社名変更を機にブランディングについて真剣に考え始めました。BtoBの製造業ですからお客様は弊社のことをよく知り、認めてくださっています。潜在顧客との商談においても技術や製品の分かる者同士で進められますからBtoCのように会社のイメージは重要と思っておりませんでした。

しかし、社名変更についてアドバイスをお願いしたOrderDesignStudioのタルマユウキさんと何度も打ち合わせを繰り返すうちに、そうした顧客企業様に加え従業員一人ひとりにも弊社の経営理念や全体像をしっかりと伝えたいと思うようになりました。

また、弊社は4年前にグループ会社2社が統合して誕生した会社ですが、お客様はじめステークホルダーの皆様からは、「並木さん」、「アダマンドさん」と旧社名で話しかけられることが多かったので、新経営体制への移行と同時に、きちんとブランディングをしたいと思うようになりました。

ブランディングについて、タルマさんのお考えや、実際にどのようなことを考えてブランディングを行ったかなどについてうかがいました。

全ての企業に共通する、ブランディングの重要性

並木:
弊社は、情報発信については手厚く行ってきたつもりですが、必ずしも伝わっていなかったのではないかと思い、この会社が高度な技術や独創的な製品を持ったすばらしい会社であることをもっと幅広く知ってもらいたいと思いました。タルマさんからも社名やロゴにとどまらずリブランディングを勧めていただきましたが、タルマさんはなぜリブランディングの必要性を感じられたのでしょうか?

タルマ:
世界的に成功しているBtoBの製造業には、ブランディングに成功したからこそ厳しい国際競争力を勝ち抜くことできたと思える会社が多くあります。

細かな違いが受注につながったり、つながらなかったりする業界ですが、そんな中で、強みや、特徴を浮き立たせる、つまり差別化するためにブランディングは有効です。

いろいろBtoBの製造業のことを調べていて、日本のBtoB製造業はブランディングにうとい(または後回しにしている)ように思いました。徐々に海外勢(特にアジア)が技術力を上げ、その見せ方もうまくなってきた中で、日本企業にも得意分野の見せ方、差別化を行うためのブランディングが必要になってきていると思いました。

BtoB、BtoCに関わらず、選ぶのは人間であって、イメージは選択を左右すると思ったので、並木さんにリブランディングを提案しました。

ブランディングにおいてロゴデザインは顧客の頭のなかのイメージの再現性を高めるという意味において非常に重要な役割を果たしています。経産省が2018年に出した 「デザイン経営宣言」でも、デザインに注力した企業のほとんどが業績を大きく伸ばしていることが示されました。

並木:
4年前に統合した2つの会社の従業員の皆さんに対しても、社内向けブランディングによって企業価値を明確にし、統合会社の全体像や2つの会社が手掛ける事業について理解し、誇りを持ってもらうことができて初めて統合が成功したと言えるのではないかと思うのですが、どう思われますか?

タルマ:
おっしゃる通りだと思います。社内向けにもブランディングは必要ですし、効果が期待できると思います。

「いい名前」だけではうまくいかない国際的なネーミング

並木:
ブランディングの最初の大きな関門である社名の選定では創業者の名前を残すべきかどうかについて、とても悩みました。

タルマ:
80年以上続いてきた会社の社名、それも創業者の名前を掲げた社名です。創業者の名前をはずすと提案することは、僕にとっても非常に勇気が必要でした。

並木:
今の社名は2018年に統合した「アダマンド」と「並木精密宝石」の2社の社名をつなげたもので、最初は、その長い歴史を考えると何らかの形で旧社名を残した方が良いのではないかとも考えました。でも、タルマさんと話し合いを進めるうちに強い個性で会社を牽引してきた祖父、父の時代には、「並木」を社名に入れることが自然でしたが、これからは社名によって何を手掛け、何を目指す会社なのかが分かるようにすべきではないかと思い、過去の歴史を踏まえながらも未来を象徴するような社名がふさわしいと思うようになりました。

タルマ:
社名を検討する上で大きく2つの視点を設けて考えました。 一つ目は「ブランドとしての機能を備えているかという視点」
・適合性
・耐久性
・拡張性
・伝達性
・親和性

二つ目は「ブランドの与える印象という視点」
・読みやすさ
・聞き取りやすさ
・言葉の響き
・覚えやすさ
・印象

また、国際的な会社ですから、これらのポイントがどんな言語でも満たされていることが必要です。

並木:
このような視点を意識しながら、タルマさんから数十個の候補を提案していただきました。一つひとつ検討する中、これはいい!と思った案については製品を展開するすべての国で「商標調査」に抵触しないかどうかを調べました。その結果、有力候補がボツになり、また出発点に戻って選定作業をやりなおさなければならないこともありました。

タルマ:
そうした中で、並木さんから「光」をキーワードにしたいという希望が出されました。これによって事業や製品や過去の社名から離れた、より概念的な社名のアイディアが次々と生まれ、天体(orb)と光(ray)という言葉を組み合わせた「Orbray」が浮上してきました。

特殊な素材とその加工技術「切る・削る・磨く」を表現するデザイン

並木:
ロゴのデザインにはどのような思いを込められたのでしょうか?

タルマ:
最初に社名とロゴを変更したいという相談を受けてすぐ、御社のコーポレートサイトをのぞいてみると、そこには、おそらくこの仕事をやらなかったら知るはずがなかった言葉や概念が並んでいました。たとえば「精密加工」とありますが、あそこまで精密さが求められるとは!と驚くばかりでした。御社のサイトに大きく掲げられた「切る・削る・磨く」。なんて潔い言葉なのだろうと思い、デザインをしながらこの3つの言葉がずっと念頭にありました。

ロゴは、Orbrayの文字列がそれほど長くないことから、書体のアルファベットの形状のしなやかさを生かしたいと思いました。また、宝石という素材の美しさと強さ、「切る・削る・磨く」技術への誇りを書体で表すため、読みやすさを失わない範囲で、適度な細さと尖りを持たせ、太い部分は太く、全体として佇まいが美しくエレガントに見えるようにデザインしました。

また、歴史のある会社ですので、この社名・ロゴが、昔からあったかのような安定感と信頼感を持たせたいと思いました。色彩については、この細い形状に強さと深みを与えるような深いブルーを使用しました。
デザインだけが重要なのではなく、これをどのように使うのかということも重要です。

ブランディングは、まだスタートラインに立ったばかり

並木:
社名とロゴを制作し、それをさまざまな制作物に展開していただきましたが、ブランディングはまだ始まったばかりだと思っています。これから社外だけでなく社内にも丁寧に浸透させていかなければなりません。

天体(orb)と光(ray)という言葉を組み合わせた新社名の「Orbray」。この社名は、弊社が創業時から変わらず、地球に存在する素材に着目し、その素材にさまざまな工夫を加えてその新たな可能性を見出し、人々が必要とする未来へとつなげてきたことを表現する社名です。さらに弊社が開発に取り組んでいる究極の半導体といわれる人工ダイヤモンドを使った半導体の用途として期待される宇宙事業をもほうふつとさせます。さらに、この社名には会社を一つの生命体と考え、従業員一人ひとりの個性を磨くことで会社が全体としてより強くなり、輝きを増す、という意味も込められています。

タルマ:
Orbrayが、高度な技術と素材に対する知見を生かした新製品を開発し続け、宇宙産業に携わる人たちが誰もが知るブランドになり、さらにその輝きを増していくのを楽しみにしています。

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