なぜアダマンド並木は、社名変更に踏み切ったのか。80年以上続く製造業の大きな決断。
Orbray Future ColumnVol. 1
アダマンド並木精密宝石株式会社は、
2023年1月1日から社名をOrbray株式会社に変更しました。
私たちは、慣れ親しんだアダマンド並木精密宝石という社名に今年で別れを告げます。私は2020年に入社した頃から、社名変更を考え始めました。あの頃は、変わらなければならないという思いが強く、古い社名にこれほどまで名残惜しい気持ちを持つとは思ってもみませんでした。
その一方で、新しい社名の下で未来に向かって歩み出すことが、この会社にとって必要なことだという確信もさらに強まりました。
この会社の培ってきた強み、これから先も追い求める未来を示した社名
新しい社名は「Orbray(オーブレー)」。「Orb」には天体や球体、そして地球の意味が込められています。「ray」は光です。新しい社名には私たちの命の源の地球と、そこから生まれた物質を磨くことによって生まれる光のイメージを込めました。
私たちの競争力を支えている最も重要な技術である研磨がこの2つの言葉をつないでいます。
1939年に北区神谷町で電力積算計の軸受宝石を作り始めた町工場は、80余年の月日を経て幾つもの分野で独自の技術や製品によって世界に名を知られる会社になりました。
創業者である祖父の並木一と二代目の父章二は切る、削る、磨くという加工技術を追求し続け、新たなフロンティアを開拓し、先進的で高品質な製品を生み出してきました。最近私たちの会社を知った人は、精密宝石部品、フェルールなど光通信部品、超小型モーター、医療装置という主要事業の間にどのような関連があるのだろうと不思議に思うようですが、すべては創業者 並木一が家族を支えるため12歳で入った宝石加工から派生してきた製品群なのです。
長い歴史を持つ社名を変更することの葛藤
だからこそ、社名の変更について考え始めた頃は並木の名を残すべきではないかと、深く悩みました。
しかし、私たちは今、祖父と父が強い個性で牽引してきた会社から取締役会の合議を重視する会社に大きく変わろうとしています。創業家出身で社長の私は最終的な責任を担い、従業員をはじめとする会社のステークホルダーの幸せを実現することに力を注ぎます。一方、業務全般については以前から経営コンサルタントとして弊社の経営改革に取り組んでこられた和田統氏を副社長にお迎えし力を奮っていただくことにしました。こうした経営体制になってはじめて持続可能でグローバルな成長が可能になるのだと思います。
私たちは2018年に2つの会社を統合しました。元々は1つの会社だった2社ですが、再統合から4年たつ今もまだまだ乗り越えなければならない課題が残されています。
今、最も重要なのは、統合した会社を個々の会社が持っていた以上の力を発揮できるようにすること。そして新しい体制で未来に向かって成長を加速していくことです。
培ってきたものを結晶化し、更なる発展を目指す。
私たちを取り巻く環境は常に変化しています。会社はステークホルダーの幸せだけでなく国連の掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を意識し、多種多様な価値観を持つ人たちを受容しながらさまざまな取り組みを進めていくことが求められています。
一方、それぞれの事業分野では、ライバル同士が熾烈な競争を繰り広げており、決して理想だけで荒波の中を生き残っていけるとは思っていません。
こうしたところから、私はアダマンド並木精密宝石の80年にわたる歴史を、ここでいったん結晶化させて足場を固め、ここから従業員全員、心を一つにして新鮮な気持ちでスタートを切りたい。そうした未来への道を、地球や宇宙、そして輝きを内に秘めたOrbrayという社名の下で歩み出したいと思っています。