変わりゆく未来に向けて、何に取り組むべきか。Orbrayとしての第一歩。
Orbray Future ColumnVol.10
アダマンド並木精密宝石株式会社は、
2023年1月1日から社名をOrbray株式会社に変更しました。
2023年1月1日、私たちはOrbrayという名の下に新たな一歩を踏み出しました。この半年余り、関係する皆様に向けて新しい社名に込めた思いを語り、封筒やさまざまな文書に新しい社名を入れ、12月末には看板を掛け替えました。
Orbrayの”Orb”には、天体や球体、そして地球という意味が込められています。そして”Ray”は光。私たちの得意とする”切る、削る、磨く”という3つの技術を基本としながら、さらに新たな世界を開拓していきたいという思いで数多くの候補の中からこの社名を選びました。
社員一人ひとりと向き合う組織づくり
私は、社長就任以来、社員全員との面談を続けてきました。変わりゆく社会に適応し、未来に向けて成長していくために、私たちが取り組むべきことは何か、共に働く人たちに教えを請いたかったからです。最初は、皆さん半信半疑な様子でした。しかし、時がたつにつれてしだいに率直な意見を聞かせてくださるようになりました。マネジメントだけが変わるのではなく、自分たちも変わっていくのだという意識も芽生えてきました。会社をより良くしていくために自分の考えていることを積極的にマネジメントに伝えたいという雰囲気も生まれてきました。とても嬉しく思っています。
各事業部の橋渡しとなる、ブランドブックの制作
弊社は、電力メーターの軸受宝石という小さな部品から、技術への情熱を持った創業者、2代目が、技術者や職人たちとともに次々と新しい分野にチャレンジし、時代と共に事業を広げてきました。
今は精密宝石部品、光通信部品、小型モーター、モーターユニット、医療装置の事業部がありますが、これまで私たちは各事業部で働く社員たちに自分が製造している部品がどのような製品に生かされ、どのように世界に貢献しているかをきちんと説明してきませんでした。
そこで私たちはブランドブックを制作しました。弊社の製品が世界中の通信インフラを支え、最高級ブランド時計に使われ、半導体の進化をリードしていることを知り、日頃から懸命に取り組んでいる仕事がどのように人々の役に立っているのかを知ることによって、社員一人ひとりがより一層仕事に誇りを持ち、モチベーションを高められると思ったからです。
また、このブランドブックを通じて、異なる事業部の社員たちが互いに認め合い、交流が増えることによって、新しい何かが生まれてくるのではないかと思います。顧客に選ばれ続ける会社であるためには、常に各事業部が最先端技術を研究し、何度失敗しても粘り強く新しい技術を切り開いていかなければなりません。現在、私たちは事業部同士のコラボ企画などを進めています。こうした取り組みから世の中のニーズに臨機応変に対応したユニークな事業が生まれてくる予感がしています。
業績と生産体制の強化
今、コロナ禍の一時的な停滞を抜けて、各事業部の製品への引き合いが増えています。2022年12月期は湯沢工場・横手工場ともに受注・生産が非常に堅調で、グループ売上高は250億円、営業利益は40億円と、大幅増収増益の見込みです。(2021年12月期 売上高 179億円、同営業利益 16億円)。海外顧客を中心に医療・光通信・半導体・レコード針・時計など、幅広い製品の取引が拡大しました。また、人工ダイヤモンドの引き合いも多くなってきました。今期は世界的な景況感の悪化もあって減速するものの底堅い業績を予想しています。堅調な業績を受けて生産体制の充実を図るため、採用活動を強化しています。また社員の待遇改善も進めており、昇給に加え契約社員の正社員への登用も積極的に行っており、大半の契約社員が正社員に登用される見込みです。
一方、地元に根差す企業として、地域貢献活動を強化しています。地元高校生向けのワークショップ、家族向けのイベント、植樹活動、地元企業との交流会・勉強会などを引き続き実施し、地元地域とともに発展していきたいと考えています。そうした活動を地道に続けることによって社員のエンゲージメントが強化され、当社の事業基盤がより強固なものになると考えています。
社内外に会社をもっと知ってもらうため、こうした事業の成果や社会貢献活動を積極的に発信しています。この規模の会社としては異例ではないかと思います。社外からも「参考になる」などと評価していただけるようになりました。
製造業としての新たな取り組み
来夏、秋田県湯沢市のTDK跡地に新工場が稼働します。この工場は生産を拡大する目的と同時に、「見せる工場」として、レコード針の製造過程を社員家族、地域の方々、そして国内外に発信していきます。ふつう製造業の社内はライバルに製造上のノウハウを盗まれかねないため非公開になっている場合が多いですが、私たちは、培ってきた技術や職人たちが働く現場を間近に見てもらうことが製造業の発展につながると思い公開することにしました。古い工場がこのようにして生まれ変わるのを見てSDGs(持続可能な開発目標)を達成することの意義を感じてもらいたいという思いも込められています。
最近、よく報道でも取り上げられているようにサファイアやダイヤモンドを使った世界最先端の半導体の研究も進行しています。半導体市場では他国に後れを取った日本ではありますが、この分野では最先端を走っており、少し大げさと思われるかもしれませんが本気でノーベル賞を狙って研究に精進しています。弊社は創業時から積み上げてきた技術で世界最大級のダイヤモンドやサファイアの結晶を製造しています。これらは宇宙や大深度地下など過酷な環境でも安定したパフォーマンスを期待できる半導体として実用化に向けた研究が進められています。
腕時計から人工衛星まで、エンターテインメントから命を守る医療機器まで・・・。私たちは、これからも製品を通じてより明るい未来に貢献していきたいと思います。