「アキタコアベース」で行われたイベントに、社長の並木里也子が参加しました
秋田県が新たに東京の京橋に設けた「アキタコアベース」は、秋田の生活相談や様々なイベントを通じて、秋田の魅力を発信する拠点として注目を集めています。2023年12月17日(日)、このアキタコアベースで行われたイベントには、社長の並木里也子も参加しました。
今回のテーマは、地域での女性の活躍に焦点を当て、様々なバックグラウンドを持つ女性たちがビジネスの起ち上げから日々の生活まで、率直に語り合いました。イベントの司会進行は、雑誌Turnsのプロデューサーである堀口正裕さんが担当し、興味深い対談となりました。
丑田香澄さん ドチャベンジャーズ
秋田市出身、五城目町在住。東京の大学を卒業し、日本IBMなどでの経験を積んだ後、出産後の母親をサポートする「(社)ドゥーラ協会」を起業。2014年にはUターンし、五城目町の地域おこし協力隊を経て、廃校オフィスBABAMEBASEの委託運営など多岐にわたる仕事を担当しています。
現在、丑田さんは主に2つの活動に取り組んでいます。「ドゥーラ協会」ともう1つは、五城目町で取り組む「ドチャベンジャーズ」の仕事。土着の資源を活かし、地域に根ざした商品や事業を生み出すサポートをしたり、様々な企画を通して五城目町の魅力を広めています。有名な朝市を広げ、挑戦者が集まる「朝市プラス」を開始したことで、近隣の空き店舗が新しい形態のカフェなどに生まれ変わるなど、地域振興の輪が広がっています。また、町と共に「みんなの学校」を開催するなど、大人たちが学ぶ場も提供しています。廃校を拠点にして地域おこし協力隊の制度を活用し、若い方たちの移住や、多様な挑戦を支援。10年前には3社だった入居企業は、現在は延べ42社にまで増加しています。
八嶋 美恵子さん 五城目町まちづくり課 集落支援員
シカゴ生まれ、千葉と東京育ち。パートナーと何度か遊びに行った五城目町の魅力に引き込まれました。大学院を卒業後、八嶋さんはすぐに五城目町に移住しました。最初の1年はボランティアとして活動しましたが、周囲の人たちから、それはボランティアではなく、仕事になるのではないかと言われ、職業としてその活動を本格的に始めることとなりました。
彼女の仕事は主にコミュニティづくりに焦点を当てています。ヨガ、演奏会、クリスマス体験のイベントなど様々な活動を通じて地域の人々をつなげ、伝統行事である数珠回しを復活させるなど、地域の文化や繋がりを大切にしています。また、広報誌の発行や地域の方々と協力して、新しいアイデアを次々と発案し、最近では朝市の商店街に棚を設け、そこに製品を陳列するなど行っています。総務省の集落支援員の制度を積極的に活用しています。
佐藤 奈都子さん Zero To Infinity(株)
秋田市出身。東京在住。秋田県総合生活文化会館で美術事業部と広報を担当。リハビリメイクを東京で学んだのをきっかけに、東京で転職。東京在住中でも秋田で映画上映会のイベントを企画し、約500人を集客しました。
令和元年には独立し、令和4年には東京都の事業にエントリーし、選出されたメンタル不調悪化兆候検知システム「HaCHa(ハチャ)」を活用した実証事業連携協定を北秋田市と締結しました。これは、カメラを使用してその人の波長を見て、その日のメンタル状況を把握できるものです。毎日のデータを蓄積することで、面談では言えないことも客観的に確認できるようになっています。こちらが障害者の就労支援に繋がっています。
佐藤さんは秋田の補助金制度が非常に充実していて、移住者への期待感が非常に高いと言っていました。さらなるアピールをすれば、秋田の地域の魅力を積極的に広めることができると思っているようです。
並木里也子 Orbray(株)
スノーボードのワールドカップ選手として世界を転戦した、経営者からは想像できない異色の経歴を持っています。競技引退後は、子どもたちへのESG・SDGs、自然体験などをテーマにした社会貢献活動に熱心に取り組んできました。そして、2020年にはアダマンド並木精密宝石㈱(現Orbray株式会社)に入社し、翌年には代表取締役社長に就任しました。3児の母親であり、2年後には湯沢市への移住を予定しています。
イベントでは、自身の経歴や秋田との関わりについて話しました。Orbrayの秋田県湯沢市の工場が1967年に操業開始し、湯沢市での誘致企業の第一号となりました。2021年に社長就任以来、毎月のように秋田に出張し、大自然や秋田の方々の人柄に触れ、魅了されてきました。今後は講演会やワークショップを通して、若者や女性の活躍の場を広げ、地域への貢献をさらに拡大していく意向です。
皆さんからの質問、移住や起業に踏み出すための第一歩は何でしょうか?
「東京の刺激的な生活から地方へ移る際、初めは地方では刺激がないのではないかと心配しましたが、実際にはそうした心配は杞憂に終わりました。やりたいことに取り組むと、地方でも十分に刺激的で、絶えることはありません。現在は地方創生や少子高齢化について学びたいという方々が、シンガポールやアフリカからも訪れています。」
「秋田ではかつて、女性が目立つのが怖いという考え方がありましたが、移住者が増え、好きなことに取り組んでも良いとの認識が広がり、女性たちは様々な挑戦を始めています。今では秋田で子供を育てるのが楽しいと感じ、地域全体で楽しく活動しています。」
「住む場所を選ぶことは重要ですが、ライフステージに応じて変化しても良いと思います。まずは気軽に遊びにいって体験することです。自分が何を好きで、何をしているときが楽しいのかを把握することが大切で、そうすれば他人の意見に左右されないと思います。」
「今日ここに来ること自体が大切な一歩です。様々な場所に足を運び、自分のお気に入りの場所を見つけてください。」
「移住者たちの共通点は、自分のやりたいことを明確にしていることです。そして、相談することも大切です。コアスペースには相談員がおり、親身になってサポートしてくれます。」
当日のイベントは大盛況でした。それぞれのパネリストがご自身の経歴や経験をお話されたので、今後移住や起業をしたいと思っている方たちには、とても参考になるお話だったと思います。印象深かったのは、好きなことをして、地域の方と共同で活動し、それが皆を笑顔にして、尚且つビジネスとなっているということです。今回の来場者の方も笑顔で帰られました。