Orbrayクリスタルガラスの歴史[腕時計用外装部品のはなし3]
ガラス形状と種類
1970年代~80年代にかけて、腕時計用カバーガラスは、丸型形状・角型形状・異形のフラットガラスや、ダイヤモンドのカット技術を応用した①カット(CUT)ガラスなどはもちろん、特殊技術として火炎溶融のプレス整形法による②ボックス(BOX)ガラス、③球R形状ガラス(又はドームガラス)、④シリンドリカルガラス(アーチ状)、さらに外形に逆円弧形状を持つ⑤逆Rガラスなど、多種多様な形状の加工に対しても即応できる加工技術を有していました。(これら各形状は、クリスタルガラスに代わり、今現在生産している単結晶サファイア窓ガラスにも適用されています) また、寸法精度の面でも顧客のご要望に応じ、±2/100mm~±5/1000mmの外形交差範囲で加工していました。
また、Orbrayクリスタルガラスの種類には、1970年代~80年代当時、赤ガラスを除く、以下の5種が主に用いられていました。
K1ガラス | 化学強化用ガラスとして開発された薄型高強度カバーガラス |
BK-7 | 光学レンズにも用いられている透明度の高いカバーガラス |
白板ガラス | 高級腕時計に用いられる無色透明カバーガラス |
青板ガラス | 一般窓ガラスにも用いられる薄青色透明カバーガラス |
K2ガラス | フロート面(無加工)を生かしたカバーガラス |
赤ガラス | LEDデジタル発光ダイオード表示用の赤色半透明カバーガラス |
カット(CUT)ガラス
当時の宝石加工技術を用いて、カバーガラス表面を宝石のように多面カットすることにより、腕時計とジュエリーの輝きを相持つファッションウォッチが流行しました。今までの腕時計ガラスのような単純な平面形状に比べ、立体的な輝きを持つカットガラスは、国内外で一時期ファッションアイテムとしてブームとなり、女性用はもちろん、男性用にもこのカットガラスモデルが数多く採用されました。
ボックス(BOX)ガラス
腕時計の窓材がプラスチック素材から耐久性のあるガラス素材に移行したことにより、逆にガラスでは形状を自由に加工することができず、デザイン的に針隙が確保できないという問題を抱えていました。各メーカーからの要望もあり、ボックスガラスの開発が進みました。当時、名古屋工業試験所との共同開発により、カバーガラスの曲げたい部分のみを約800℃に熱し、それをOrbrayオリジナルの成形金型装置でプレス加工することにより、ガラス細工の工法と同じく、周囲が折れ曲がった薄型ボックス形状のカバーガラスの開発に成功しました。
円形窓形状のボックスガラスからスタートし、後にブラウン管テレビ型、楕円型のボックスガラスへと展開していきました。またこれが後の産学官プロジェクトによる共同開発のスタートとなりました。
LED赤色ガラス
1970年代初め、アナログからデジタルへの変革時期に、奇抜なデザイン表示窓の赤色ガラスを用いた腕時計が、一時、大流行しました。
赤色発光ダイオードの完成により、その特性に合わせた限界波長645nmを主とするフィルターガラスを腕時計窓材に採用し、時刻を発光ダイオードの光でデジタル表示の数字として見せるものでした。当時は高額商品でありながら、時代を先取りする注目アイテムとして人気がでました。 また、赤以外に緑色発光ダイオードの特性に合わせた中心波長520~550nmを主とするグリーンガラスも一部製造しました。しかし発売から約3年間ブームが続き、ヒット商品となりましたが、その後は、消費電力が少ない現在の液晶表示のデジタル腕時計へと進化していきました。
Orbrayでは、常に腕時計部品メーカーとしてユニークな商品を提供し続けています。
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