多様な人々が生き生きと働ける会社へ 羽生祥子氏との女性社員座談会

Orbray Future ColumnVol.7

著作家・メディアプロデューサー 羽生祥子氏
代表取締役社長 並木里也子
アダマンド並木精密宝石 女性社員

アダマンド並木精密宝石株式会社は、
2023年1月1日から社名をOrbray株式会社に変更します。

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Orbrayコラム第7回は、著作家・メディアプロデューサーの羽生祥子(はぶさちこ)さんをお招きし、社長の並木里也子と女性社員を交え意見交換を行いました。今、世界では性別・年齢・国籍などの属性や価値観、生き方、性的指向などを異にする人々が、互いに尊重し合う多様性の高い社会を目指そうという動きが強まっています。日本でもこの考え方は浸透してきましたが、残念ながら他の先進国に後れを取っています。壮大なテーマではありますが、今後どのように当社が進んでいけばよいのか、羽生さんのお話を伺い、Orbrayの現状と未来について考えました。

羽生さんは経営やライフスタイル、科学技術などの情報を提供する出版社、日経BPで、働く女性やカップルを支援する「doors」、働くママ・パパ向けの「DUAL」、40~50代向けの「ARIA」などのウェブサイトを次々に立ち上げ、その編集長を務めた後、今年独立されました。働く女性の啓蒙活動に始まり、多様な人々が幸せに生きられる社会の実現に向けたコンサルティングなどさまざまな活動を行っています。

日本のダイバーシティの現状

羽生:世界ではダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(受け入れる)という言葉が頻繁に話題になっています。きょうは企業にとって、なぜ多様性が必要かということを簡単にお伝えしたいと思っています。

日本の会社のダイバーシティ推進室は、ワーキングママ推進室で止まっています。20年以上もそこから進歩していません。早く帰宅できるようにするとか、保育園探しを手伝うとか、大事なことですけれど、世界で言われているダイバーシティはもっと幅広い。性別は当たり前で、年齢、民族、国籍、宗教とかLGBTQ(性的少数者)に広がっているのに、日本では性別で止まったままです。

欧米では大学の研究チームでも女性がメンバーに入っていなかったりジェンダーバランスがとれていないと補助金がもらえないこともあります。決して無理に女性を入れろということではなく、女性がいた方が研究のパフォーマンスが高いんです。このことはデータで実証されています。また、米国では役員の多様性が低い企業は金融市場で評価を得られません。

見回してみると日本にも元気のいい女性はいっぱいいるのですが、女性役員の比率となるとガーンと低くなるんですね。G20の国々でみると日本と韓国が低い。でも韓国は法律を改正して今年、大きく増えるので、日本は取り残されるでしょう。

また、日本女性は生涯賃金から受けた教育の費用を引いた額が経済協力開発機構(OECD)諸国で最下位です。わたしは、何かの間違いじゃないかと思い、OECDに電話してしまいました。でもこれが本当なんです。日本には扶養控除の範囲内で働く女性が多く、年収130万円の壁があります。扶養控除を受けるために働き方を制限するので女性の所得が非常に低い。今までのようにアジアの国だからという言い訳もしにくくなってきました。

なぜ企業に多様性が必要なのか

羽生:グループシンクと呼ばれる現象があります。日本の会社では50歳~60歳代の長年同じ経験を積んで同じ成功体験を持っている男性集団の存在感が大きい。この人たちは、自分たちと違う人たちのことを過小評価しがちです。若い女性が、もっと休みが欲しいとか働きやすい環境を整備してほしいというと、あの人たちは弱いとか無理なことばかり言っていると否定したり無視してしまいがちです。均質な集団の中にいるとその価値観が今の時代には受け入れられなくなっていることに気付かなくなるのです。そうすると、女性も自分が間違っているんじゃないかと思ったり孤立してしまったり。多様な意見が出にくくなるため、会社にとっても損失です。

私は、最初の出産後、「記者としては終わったな」と自分では思い込んでいました。2人目の子どもを出産して職場復帰したときには、緊張のあまりJRの駅で階段を降りられなくなったり、電話を取るのも恐かったりしました。それが日本の女性の置かれている典型的な状況ではないかと思っています。

女性社員: わたしは子どもが1人いますが、職場の人がものすごく優しく、仕事と家庭を両立できています。私は開発の部署にいて、入社1年目から大きなプロジェクトの一員として仕事を任されてました。開発がうまくいかないことも多々あり、時には残業をせざるをえないときもありました。数年後にそのプロジェクトも上手くいき、仕事の楽しさも感じていたところでしたが、結婚、出産と続きました。産休に入るまでは不安な気持ちもありましたが、上司が理解のある方だったので、時間調整も認めてくれ、今は時短勤務で、好きな開発の仕事をそのままやらせてもらっています。本当に感謝しています。

羽生:新入社員の方はどうですか?

女性社員:まだ漠然としていますが、結婚しても子どもができても、長く働き続けたいと思っています。職場にワーキングママが2人もいて、在宅勤務をしながら、バリバリと仕事をしている姿を見ているとすごく刺激を受けます。いろいろとお話を伺いながら、今後の人生設計のイメージを膨らませていきたいと思います。

並木:いろんな人が生き生きと働ける会社を作るには、多数派の方たちが自分たちがグループシンクに陥っていないかに気を付けなければなりませんね。

私自身が女性ですし、創業家の3代目ではありますが後継者として育てられたわけではありませんでしたから、突然社長という大任を与えられ不安がなかったといったら嘘になります。しかし、副社長をはじめ当社には本当に優秀なスタッフがたくさんいるので、皆さんに助けられてこの役割を果たしています。それぞれが得意なことを活かし、助け合ってチームとして、強くなっていこう、よくなっていこうという想いがあります。私は社長に就任してから社員全員との面談を続けていて、現在700名を終えたところです。最初は反応が薄く、話を聞き出すことが難しかったですが、最近は雑談を交えながらプライベートなお話もしてもらえるようになりました。そこで浮かび上がってきた問題に優先順位をつけて一つずつ対処しています。

羽生:いろんなリーダーがいていいと思います。例えば先頭に立つのではなく後ろか横にいて伴走しているようなリーダーもいていいんです。強力なリーダーは、男性でも嫌だという人が多いです。でも、Orbrayには女性社員が23%いるのですから管理職もそのぐらいいてもいいはずです。

チームで女性のキャリアアップを目指す職場へ

皆さんはリーダーになることについて考えたことがありますか?わたしは10年以上、新規事業の立ち上げに関わってきましたが、初めて『日経DUAL』(当時)の創刊編集長になったとき、子どもは2歳とゼロ歳、しかも夫は会社を辞めて法科大学院に行っていました。 いったいどんな責任を負わされるのだろうと不安でしたが、わたしには大先輩の大物編集長と同じことはできないと悟りました。細かな保守保管の管理仕事など私が苦手なことを得意な人を見付けて、委ねました。 当初私一人だけだった編集長も、次々と委譲・バトンタッチして、多いときにはブランド内で5人の女性編集長が誕生しました。 すると、30代の育児中の男性がそれなら自分もできるかもと言って立候補してくれました。気負いすぎる必要はないんです、しょせん会社員なのですから。 たとえうまくいかなくともクビになるわけでもないですし、別の部署に異動するくらですよ(笑)。そんな大変なことにはならないと思えばいいんです。 日本には、キャリアアップを考えたことがないという女性社員が多いです。職場の人間関係もよく、日々仕事に邁進しています。でも、何かを提案したり、リーダーシップを執ろうとする人が少ない。

女性社員:正直なところ、私もキャリアアップについてはそこまで真剣に考えたことはありません。いつも効率よく、そして皆さんから感謝していただだけるように心がけています。仕事を効率よく行うという観点から進め方について提案させて頂くこともあります。大きなことではなく、小さなことの積み重ねという感じです。ただ、会議では自分が発言したら皆どう思うんだろうと気にしてしまうことがあります。会議になると急にかしこまってしまいます。でも今のお話を伺い、色々な意見が出ることが重要なんだと思い、もっと積極的に発言していこうと思いました。

並木:会議で発言するというのは最初は怖いけど慣れたら何でもないと思うので、私は敢えて女性に意見を聞くようにしています。女性は男性が気付かない視点からものを見ていますから、女性の意見を聞かないのはもったいない。何度も聞くうちに少しずつ話してくれるようになり、今は私が聞かなくても自分から発言してくれるようになってきました。

キャリアアップについても同じです。女性には、ほかの人と違うことをすることに不安を感じる人が多いので、みんなで一緒にキャリアアップを目指しましょうと呼び掛けています。キャリアアップなんて自分には関係ないと思っていた人たちにもリーダーシップを発揮してもらいたい。女性がいきいきと能力を発揮できる職場にしたいと思っています。

羽生:チームを作って女性が提案をしやすい環境を作りたいという並木社長の言葉がとても心に残りました。そうした環境を作れば心理的安全性が高まりますね。

私は、多様性に富んだ企業のイメージとはどんなものかと尋ねられると、「トレーディングカードゲーム」と答えています。強いカードばかりを揃えても絶対勝てないんですよ。 管理職の中には、カードの揃え方を、「全部強いカードにすれば」と誤解している人もいる。1番強いカードをお金で強引に買ってきちゃったりしてたんですが(苦笑)、勝つためにはいろんなタイプの人間がいるってことが大切なんです。 力・風・魔法....と、いろんなタイプの社員の組み合わせ方がうまいことがリーダーに必要な資質なのだと思います。

女性社員:先頭に立って引っ張るのではなくチームの中で自分の得意なことで積極的な役割を果たすということだったら私もやれそうな気がします。私は、仕事上で困ったことがあり、良いアイデアがないかなと思った時は、部署を乗り越えて情報交換をしており、そんなときに思いもよらない秘策が出てきて、お互いに助け合っています。

並木:先日、秋田の工場の100名の女性に向けて、もっと自分自身を輝かせるというテーマの自己啓発セミナーを行いました。最初にこのセミナーを提案した時は、製造業の工場では前代未聞だと言われて不安もありました。イベント終了後、国内外で活躍する講師の方々は、セミナーに参加した女性たちのビフォー、アフターの変化率がすごいと驚かれていました。秋田の方は、まじめで実直な方が多いので、こうやったらいいよと言われればやってみよう、そして実際にやってみたら変われた!と感じられたのではないでしょうか。開催して本当によかったと思いました。

多様性が高まることでパフォーマンスが上がるということがデータで証明されているのですから、まずは女性の力を引き出すというところから始めていきたいと思います。ありがとうございました!

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