Orbray株式会社(旧アダマンド並木精密宝石)ブログ。技術のトレンド、製品のワンポイント、SDGsなどについて紹介していきます。

木の枝や間伐材を燃やす ウッドボイラー「暖ZO」で石油の利用を大幅に削減

   最終更新日:    公開日: 2025/04

黒石工場 総務部

政府は2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするというカーボンニュートラルを目標に掲げており、Orbrayも数々の取り組みを行っていますが、その一環として青森の黒石工場で木の枝や端材を燃やし水を温め、暖房として使用する新しい取り組みを始めました。「暖ZO」という、米国製ボイラーの導入です。

木は CDP(Carbon Disclosure Project)などの機関で国際的にカーボンニュートラルと認められています。木の場合、成長の過程では二酸化炭素(CO2)を吸収し、燃える時に出るCO2とプラスマイナスでゼロになるからです。Orbrayが2050年までに達成しようとしているカーボンニュートラルの目標にも貢献してくれるでしょう。

温暖化防止のためだけではありません。円安や海外の紛争による原油価格上昇を受けたガソリンや灯油の大幅な値上がりが私たちの生活を脅かしています。今年の1月からはガソリンや灯油の価格を抑えていた政府の補助金が徐々に削減されるため、さらなる値上がりが予想されています。エネルギー源の多様化は日本の将来にとって幾つものメリットがあります。


もう一つ、世界各地で事業を展開するOrbrayにとって、サプライチェーン全体でのサステナビリティへの取り組みは大切な課題となっています。この暖ZOプロジェクトは、環境や社会に配慮した事業活動を評価する国際的な機関からも注目される可能性があり、そうした面でも魅力的な取り組みといえるでしょう。特に近年、グローバルなビジネスシーンでは、サステナビリティへの姿勢が取引先との関係構築において重要な要素となっており、Orbrayもこのプロジェクトを通じて、より良い評価につながる一歩を踏み出したいと考えています。

一方、Orbrayが生産拠点を構える青森や秋田には森林資源が豊富にありますが、有効に利用するには乗り越えなければならないハードルがたくさんあり、なかなか利用が進んでいません。環境にも優しく、未活用だった地域資源を活用することが出来る暖ZOは非常に魅力的なエネルギー源だと思い導入を決めました。

「暖ZO」は、公衆電話ボックスを一回り大きくしたような長方形の装置です。広い米国では、石油を配送してもらえず、ガスも来ていないような人里離れた場所に住む人も多く、そのような場所の一般家庭で使われているのですが、日本では実証実験目的で導入された秋田市の中央木材卸売市場を除き、黒石工場が初めてです。

関東に比べ真冬の平均気温が6~7度低い黒石工場では、電気のエアコンだけでは力不足なため石油ストーブもたいて社員食堂、更衣室、100メートル工場1棟分を暖めていました。この石油ストーブの代わりに暖ZOを使おうというわけです。

暖ZOは、なかなかハイテクです。センサーなどで炉内の温度やお湯の温度を測り、スマホやパソコンでチェックできるようになっており、木から発生するガスを利用して自働で燃やし方を調整してくれるのでそばに付いていなくても大丈夫。また、非常に燃焼効率がよく、木材を90%以上燃焼し、灰しか残らないため、薪ストーブのように庫内にすすが溜まったり、煙突が詰まったりする心配もないのです。

また、暖ZOのための建物を建てたり、燃料の材木の乾燥用の設備が必要なく、温めたお湯を建物内に循環させるパイプを敷設するだけで済むのでコストを低く抑えられます。


燃やす木を選ばないのも暖ZOの魅力です。使い道のない間伐材、低質材、生木、端材などあらゆる木から熱エネルギーを作ります。乾燥率も気にしなくていいといわれましたが、この点については、実際に使ってみるとそうはいかず、今年用に用意した薪は来年に向けて1年、乾燥させることにして、今年用には1年乾燥させた薪を購入して使うことにしました。

暖ZOは、2月中旬に黒石に到着、お湯を循環させるパイプなどを接続して、しばらく調整し、今では調子よく働いてくれています。

計算上、Orbrayでは暖ZOの導入によって年間110トンのCO2削減が見込まれ、3万リットルの灯油の消費を抑えられます。昨今の灯油の値上がりのため薪を使うと石油の3分の1のコストで済みます。

日本では年間800万トンの間伐材が無駄になっています。それを 灯油に換算すると120億リットル分のエネルギーになります!これは全国の家庭で消費されている灯油をはるかに上回る量です。

捨てられるだけだった木材を有効に使うことはSDGsの目標12にも当てはまります。米映画「バックトゥザフューチャー2」で車型のタイムマシン「デロリアン」が「ごみ」を燃料にしていました。小さなボイラーで利用価値がないとされていた木をこんな風に有効利用できる暖ZOには、それに近い夢があると思います。

少し大変なのは、3時間に1度、30キログラムの薪を投入しなければならないことです。ボイラーを屋外に置けるのは、コスト上はメリットですが、薪を投入するために吹雪でも外に出て少し離れた倉庫から薪を車で運んでこなければならないのです。しかし、この取り組みによって会社全体の環境負荷低減に貢献できる上、石油など化石燃料を使わずに木というクリーンなエネルギーを使う気持ちよさを感じながら楽しく薪運びをしたいと思っています。


OrbrayのSDGsの取り組みはこちら

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