Orbray株式会社(旧アダマンド並木精密宝石)ブログ。技術のトレンド、製品のワンポイント、SDGsなどについて紹介していきます。

減速機とは?種類や種類ごとの特徴などを解説

   最終更新日:    公開日: 2023/09

減速機は産業用ロボットや工作機械など、モーターを動力源とする製品に使用されています。現代の産業分野において、高精度の加工技術や精密制御のために不可欠となる要素です。

本記事では、減速機の仕組みやメリット、種類ごとの特徴などについて解説します。

減速機とはどのような機器?

減速機

ここからは、減速機の仕組みや必要性、用途について解説します。減速機の知識を深め、適切な製品選びに役立てましょう。

減速機の仕組み

減速機は歯車などの組み合わせにより、モーターなどの動力源の回転数を落とすとともに、トルクを増加させる機構です。これにより、動力源から用途に適した回転数・トルクを取り出すことができます。

最もシンプルな減速機の構造としては入力側と出力側の2枚の歯車を組み合わせたもので、それぞれの歯数の比率に応じ出力される回転数やトルクが変化します。この歯数の比率を減速比と言います。

例えば出力側の歯数が100、入力側の歯車の歯数が50の場合、減速比は2:1となります。
この場合、入力側からの回転数は1/2で出力され、トルクはおおよそ2倍となります(実際には、出力トルクは減速比にギヤの伝達効率を掛け合わせた値となります)。

減速機が使用される場面では、上記のように単純な2枚の歯車の組み合わせでは要件を満たせない場合があります。例えばより高い減速比が必要な場合、出力側の歯車をより大きく(歯数を多く)、入力側はより小さく(歯数を少なく)する必要がありますが、歯車のサイズや強度などの要因から限界があります。

歯車の出力側をさらに別の歯車の組み合わせに入力する事により、必要な減速比を実現できます。歯車の組み合わせの数を段数と呼び、1組で1段、2組で2段…となります。

段数を増やすことにより大きな減速比を得ることが得やすくなりますが、通常段数を増やすほど伝達効率が悪化し、出力軸のバックラッシュが大きくなる傾向になります。

精度を求められる用途の場合、加工精度を上げた精度等級の高い歯車で減速機を構成したり、バックラッシュの少ない構造の減速機を選定する必要があります。

また、ほとんどの減速機にはグリス等の潤滑剤が使用されており、これにより減速機の寿命向上や、異音・騒音低減など、大きな性能改善の効果が得られます。
グリス等の潤滑剤は、減速機の使用環境や、負荷や回転数などの機械的な条件に応じて最適なものを選定する必要があります。

減速機が必要とされる理由

通常モーターには効率よく駆動できる回転数・トルクの範囲が決まっていますが、使用上必要となる回転数・トルクは一般にモーターの効率点に対し低回転・高トルクとなる場合があります。

言い換えればモーター側は高回転・低トルクであり、このままでは使用上必要な特性と差異が生じてしまいます。これに対しモーターのみで対応しようとする場合、効率が悪化する上、発熱や寿命に悪影響がでるような無理のある負荷領域で使用するか、モーターを大きくするなどが必要となります。

この場合減速機を用いる事で高回転・低トルクのモーター出力を低回転・高トルクに変換する事ができ、モーターとしての駆動効率やサイズを維持した上で必要な出力を得ることが可能になります。

減速機はさまざまな製品に使用されている

減速機は精密制御が求められる機器にも対応できるため、さまざまな分野で幅広く活用されています。主な使用例は次の通りです。

・エレベーター、エスカレーターなどの移動設備
・ベルトコンベア、産業用ロボットなどの工場設備
・自動ドア、自動シャッターなどの自動設備
・医療装置、測量機器、光学機器などの精密機器

エレベーターや自動ドアなどの身近な設備から、工場内に用いられているロボットまで、減速機が使用されている製品は多岐にわたります。モーターを動力源とする設備には、減速機が不可欠といえるでしょう。

減速機を使用するメリット

減速機

ここでは、減速機の使用により得られるメリットを解説します。

小さなサイズで大きなトルクを得ることができる。

モーターの出力トルクを大きくするためにはモーター自体のサイズを大きくする必要がありますが、多くの場合、設置する機械や装置のスペース上の制約があり、所望のトルクが得られません。また、モーターに大電流を流すことで出力トルクも大きくなりますが、必要以上に電流を流すとモーター自身が発熱してしまい、効率の低下や故障につながります。

モーターに減速機を組み合わせることで、限られたサイズの中で数倍~数百倍のトルクを得ることができます。また、モーター自身に大電流を流す必要もなくなるので、発熱の問題も回避できます。

減速機の種類とそれぞれの特徴とは

減速機

ここからは、減速機の種類と特徴について、みていきます。用途に適した減速機を選択することが大切です。

平行軸式減速機

平行軸式減速機は「平歯車(スパーギヤ)」と「はすば歯車(ヘリカルギヤ)」を数段階組み合わせて減速を行います。入力軸と出力軸が平行の位置にある点が特徴です。

動力伝達効率に優れた平歯車、静音性に優れているはすば歯車の2種を採用しています。また、数段階の歯車の組み合わせによって、幅広い減速比が設定可能となるため、多様な用途に適応できます。

ウォームギヤ減速機

ウォームギヤ減速機はネジ状の歯車である「ウォーム」と、はすば歯車の「ウォームホイール」を組み合わせた減速機です。出力軸と入力軸が別々に動く設計によって、高い減速比を得られる点が特徴です。

ウォームとウォームホイール間の動力伝達は、歯車の滑りによって行われるため発熱しやすく、負荷時間率は一般的に低く設定されます。一方、遊星歯車減速機と比べ、静音性にも優れています。

傘歯車減速機

傘歯車減速機は「傘歯車(ベベルギヤ)」、傘歯車の一種である「ハイポイドギヤ」を用いた減速機です。軸方向を90度回転し、入力軸に対して直交した出力軸が可能となります。

傘歯車は歯が堅牢であるため、負荷に強く、高い耐久性を発揮します。また、ウォーム減速機に比べ熱を持ちにくく、負荷時間率が高い点も特徴です。

不思議遊星減速機

太陽歯車と複数の遊星歯車があり、1つの軸となる歯車と歯数の異なる2つの内歯車を組み合わせた減速機です。内歯車は、固定されているものと可動しているものに分かれます。そして、その歯数が異なることで高い減速率を得ることが可能な点が特徴です。

波動歯車減速機

波動歯車装置(Strain wave gearing)の原理を利用した高性能な減速機です。楕円形の波動発生器によって駆動します。薄肉カップ状の金属弾性体が、内周に歯が刻まれている剛体リング状の部品とかみ合って回転します。

高トルク・低慣性に加え、サイズもコンパクトであり、バックラッシュがほとんどなく振動や騒音も低いため、安定した動作が可能です。

当社で取り扱うギヤードモーター

ここからは、Orbrayで取り扱うギヤードモーターについてみていきましょう。当社のギヤードモーターには、異なる特徴を持つ2種類のギヤタイプを採用しています。

ギヤードモーターとは

ギヤードモーターとは、モーターの回転軸に減速ギヤを組み合わせて一体化した製品です。モーター単体以上の低回転・高トルクが発揮されるため、高い汎用性を備えています。例えば、搬送装置や機械の駆動部分などに使用することが可能です。

ギヤタイプ

Orbrayのギヤードモーターで採用しているギヤヘッドは「スパーギヤヘッド」と「遊星ギヤヘッド」の2種類です。

スパーギヤヘッドは多くの場所で使用されており、歯筋が軸に平行な直線である円筒歯車を使用しています。比較的単純な構造で部品点数やギヤのかみ合いが少なく、優れた静音性とスラスト荷重が発生しない点が特徴です。また、段数によって入力軸と出力軸の回転方向が異なります。

一方、遊星ギヤヘッドは入力軸と出力軸を同軸上に配置できる点が特徴です。かみ合うギヤの数が多く高トルク伝達が可能であり、少段数で高い減速比が得られます。遊星(惑星)ギヤがサンギヤ(太陽)の周囲を回転する構造のため、プラネタリギヤとも呼ばれています。

まとめ

減速機は産業用ロボットや工作機械など、多くの機械や装置における動作効率や安全性を高めるために利用されている機器です。高精度な加工や精密制御が不可欠な分野において、重要な役割を果たしています。

今後、産業分野のさらなる進化が予想でき、高精度な減速機のニーズはより一層高まっていくでしょう。

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