ブラシモーターとは?特徴やブラシに使われる材質を解説

身近にある多くの機器は、モーターによって動いています。なかでもブラシモーターは、おもちゃや家電、自動車の電装品など、幅広い製品で長く使われてきた基本的なモーターです。
直流電源につなぐだけで回る手軽さから、モーターの代表格としても知られています。一方で、その構造や回る仕組み、ブラシの種類による違いまで知る機会は、意外と少ないかもしれません。
本記事では、ブラシモーターの基本構造と回る仕組みから、ブラシレスモーターとの違い、性能を左右するブラシの材質などをわかりやすく解説します。
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ブラシモーターとは?
ブラシモーターは、ブラシと整流子(コミュテータ)で電流の向きを機械的に切り替えながら回るモーターです。なかでも直流電源で動くものは、ブラシ付きDCモーターと呼ばれます。
ブラシと整流子を電子回路に置き換えたブラシレスDCモーターに対し、ブラシモーターはその原型にあたる存在です。歴史が古く構造がシンプルなことから、現在も幅広い機器で使われています。
直流電源につなぐだけで回るシンプルさが大きな魅力ですが、ブラシと整流子は摩耗します。定期的な保守が必要になる点は弱みといえるでしょう。
ブラシモーターの基本構造

ブラシモーターは、固定子(ステーター)、回転子(ローター)、整流子(コミュテータ)、ブラシという4つの部品から成り立っています。
固定子・回転子のどちらに永久磁石を置き、どちらにコイルを置くかという「役割」は共通ですが、磁石とコイルの内外の位置関係は、鉄心にコイルを巻く「コアード型」と、鉄心を持たない「コアレス型」とで入れ替わります。
一般的なコアード型では、外側の固定子に永久磁石を配置し、その内側で電機子(アーマチュア:鉄心にコイルを巻いた回転子)が回転します。
※ただし上図は、Orbrayが採用するコアレス型(カップ状の自己支持コイルを使うタイプ)の構造を示しています。コアレス型では内外の位置関係が逆になり、中心に固定された永久磁石(固定子)の周りを、カップ状のコイル(回転子)が回転する構造です。

コイルの両端は、どちらの構造でも回転子と一緒に回る電極である整流子につながっており、ここに電源側から電流が供給される仕組みです。その電流を整流子へ受け渡すのがブラシで、電源につながった固定のブラシが、回転する整流子に触れながら通電します。
なお、Orbrayのブラシモーターは鉄心を持たないコアレス構造を採用し、小型で応答性に優れたモーターを実現しました。
ブラシモーターが回る仕組み
ブラシモーターは、コイルに流れる電流の向きを切り替えながら回転します。その切り替えを担うのが、ブラシと整流子です。
まず、ブラシから整流子を通してコイルへ電流が流れると、固定子がつくる磁場の中を電流が流れることで、コイルに力(電磁力)が生じ、回転子が回り出します。回転子がおよそ半回転すると、ブラシが接する整流子の面が入れ替わり、コイルに流れる電流の向きが反転する仕組みです。
この反転によって、コイルに生じる力の向きも切り替わるため、回転子は同じ方向へ回り続けます。ブラシモーターでは、電流の向きを切り替える「整流」を機械的な接触で行っています。なお、電源の向きを逆にすれば回転方向が変わり、電圧を変えることで回転速度を調整できます。
ブラシモーターとブラシレスモーターの違い
ブラシモーターとブラシレスモーターの最も大きな違いは、整流の方法にあります。ブラシモーターはブラシと整流子で機械的に、ブラシレスモーターは駆動回路で電子的に電流を切り替えます。
ブラシモーターに使われるブラシの材質
ブラシは整流子と擦れ合いながら通電する部品のため、材質によってモーターの特性が大きく変わります。代表的なものに金属系とカーボン系があり、それぞれ得意とする用途が異なります。
金属ブラシ
金属ブラシは、金属でできたブラシの総称です。板状のばね材を使った安価なタイプもありますが、精密な小型モーターで活躍するのが、接点に貴金属を用いた貴金属ブラシです。金や銀などの合金を接点に使用しており、低い電流や電圧で動く小型・低出力のモーターに向いています。
接点の抵抗が低く安定しているうえに、通電が滑らかで電気的なノイズも小さいため、静粛性と精度が求められる場面に適しています。ただし貴金属の接点は、電気的な腐食に強い反面、物理的な摩耗には弱い傾向にあります。ブラシの寿命は、使う条件次第で変化する点に注意が必要です。
カーボンブラシ
カーボンブラシは、整流子と擦れ合う接点に炭素を用いたブラシです。摩耗に強く大きな電流にも耐えるため、掃除機や電動工具、自動車のパワーウィンドウなど、パワーが求められる高出力のモーターで広く使われています。
カーボンブラシは、大きく2つのタイプに分けられます。ひとつは黒鉛だけでできたタイプで、火花が出にくい反面、整流子との間で電圧が下がりやすい性質を持ちます。もうひとつは黒鉛に銅や鉄などの粉を混ぜた金属黒鉛タイプで、電気を通しやすく大きな電流に対応可能です。小型の直流モーターによく使われています。電圧降下を抑えたい用途では黒鉛タイプが、大電流を安定して流したい用途では金属黒鉛タイプが選ばれる傾向にありますが、火花の出やすさやノイズ対策を優先したい場合には、電圧降下があっても黒鉛タイプが選択されるケースもあり、どちらが適しているかは用途条件によって異なります。
いずれのタイプも耐久性に優れますが、貴金属ブラシと比べると火花が大きく、電気的なノイズが出やすい点には注意が必要です。Orbrayでは、そのなかでも大きな電流に対応可能な金属黒鉛タイプのカーボンブラシを中心に採用しています。
Orbrayでは、カーボンブラシを搭載したコアレスモーター「CMC12-22xxシリーズ」を展開しています。貴金属ブラシは摩耗しやすく高負荷用途では寿命が短くなりがちですが、カーボンブラシは摩耗に強いため、同等の高出力条件下でも長寿命を実現しやすいという利点があります。カーボンブラシの大電流への強さと耐久性を生かし、パワーと寿命の両立が求められる用途にも対応できる設計です。
CMC12-22xxシリーズを見る
ブラシモーターの特徴
ブラシモーターの代表的な特徴を、次の3つの観点から見ていきます。
- 構造がわかりやすく扱いやすい
- ブラシ材質によって特性が変わる
- 摩耗するため保守が必要になる
構造がわかりやすく扱いやすい
ブラシモーターは構造が単純で、動作の原理もわかりやすい点が魅力です。小型のものなら乾電池でも動かせるほど手軽で、複雑な制御を必要としません。
扱いやすさは、制御の面にもあらわれます。電圧を上げ下げすれば回転の速さが変わり、電源の向きを逆にすれば回転方向も切り替わるため、配線とスイッチだけで基本的な操作ができます。
ただし、回転の速度を細かく制御したい場合は、専用の駆動回路が必要です。シンプルさを生かしつつ、用途に応じて回路を組み合わせる使い方が一般的です。
ブラシ材質によって特性が変わる
ブラシモーターは、ブラシの材質によって得意分野が変わります。貴金属は電気的なノイズが小さく、低い電流でも安定して動くため、静粛性や精度が重視される精密機器に向いています。
一方、カーボンは摩耗に強く大電流に耐えるため、電動工具や家電などパワーが必要な機器で力を発揮する材質です。このように同じブラシモーターでも、接点の素材しだいで特性が大きく変わります。
摩耗するため保守が必要になる
ブラシモーターは、ブラシと整流子が触れ合いながら回るため、使ううちに少しずつすり減ります。摩耗には、接点どうしが擦れる物理的なものと、通電時の火花による電気的な腐食の2種類があります。どちらも性能の低下につながるため、定期的な交換や点検が欠かせません。
摩耗する接点を持たないブラシレスモーターと比べると、寿命の面では弱みといえます。整流子側もすり減るため、構造によってはモーターごと交換する場合もあります。
まとめ|ブラシモーターはブラシの材質によって特性が変わる
ブラシモーターは、ブラシと整流子で電流を切り替えながら回るシンプルなモーターです。電源につなぐだけで手軽に動かせる一方、ブラシの摩耗による保守が欠かせない点は弱みといえます。
もう一つ重要なのが、ブラシの材質によって特性が変わることです。貴金属ブラシは低ノイズで精密な用途に向き、カーボンブラシは高い耐久性で大きな電流に対応します。用途に合わせて材質を選ぶことが、ブラシモーター選びの要点です。
Orbrayは、接点に貴金属を用いたコアレス構造のブラシモーターを手がけ、低ノイズと応答性の高さを両立しました。プロ用ビデオカメラのレンズ駆動や医療機器など、精度が求められる現場で活躍しています。モーターの選定でお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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