Lily Style 女性経営者インタビュー [第二回]
代表取締役社長 並木里也子
第二回のゲストはNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」にも取り上げられた人材紹介エージェント、森本千賀子(モリチ)さんです。
森本さんは、リクルート傘下の人材紹介会社で約25年にわたり伝説的なトップセールスとして活躍、2017年に独立してmorichi (モリチ)を立ち上げ、今は幅広いネットワークを活かし、NPOの理事やスタートアップ企業の支援など十数枚の名刺を持ち、オールラウンダー・エージェントとして飛び回っています。
里也子:モリチさんの原点といいますか、幼少期はどんなお子さんだったのですか?
森本:山と田んぼと湖に囲まれた滋賀県のほんとの田舎に育ちました。わんぱくでやんちゃな子どもでした。田舎コンプレックスがあって小学生の時からここを出てやるぞと思って、タレント発掘番組の「スター誕生」に応募したこともあります。大学も多くの同級生が大阪や京都に進学する中、東京の大学に行きました。高校の頃、英語が得意だったし「スチュワーデス物語」というドラマがあって「スチュワーデスになりたい!」と思っていたのです。でも、入学したとたんに帰国子女などもいて、わたしなど全然たいしたことがないと気づかされました。
里也子:でも、そこで何か見つけられたんですよね?
森本:それがラグビーだったんです。高校時代に「スクールウォーズ」という高校のラグビー部を描いたドラマがありました。まだ女性がラグビーをプレイする時代ではなかったのでマネジャーになりました。マネジャーとして夢中になって人のために尽くし、相手がより輝きハッピーになるために自分が何ができるかということを考えていました。こういう経験はその後の人材エージェントとして仕事をする上でとても貴重でした。
里也子:目の前にあることに集中するという経験はすごく重要ですね。私もアスリート時代に打ち込んだ経験は今に活かされています。それから、相手がよりハッピーになれるよう心がける、ということは、私も従業員の方たちに対していつも思っています。
森本:私の生き方には1歳年下の弟の存在も影響しています。弟は2歳の時、難病にかかり1年の7~8割を病院ですごしていたのです。そんな弟をみながら、生きることについて人より早く考え始めましたし、やりたいことをやれることに感謝する気持ちを持つようになりました。
里也子:モリチさんのパワーとか人に勇気を与える生き方の原点がそういうところにあったんですね。自然の中で育ったことで五感が育った、といいますか、感受性が豊かになったのではないでしょうか。お仕事の成功にもそうしたモリチさんの生き方が影響したと思います。
森本:父の影響もあります。父は私が小学校を卒業するころに脱サラして会社を設立しました。滋賀の石原裕次郎と呼ばれるほどかっこよくて、ファザコンだったんです。アルバイトで見積書を書いたりとか父の会社を手伝っていたので、大学3年で就職活動を始めた時、ぱっと父の顔が思い浮かび、父をサポートしたいと思いました。その頃、父が一番困っていたのは人材の採用でした。なかなか採用できなかったり、すぐに辞めてしまったり。それで人材の仕事をしたいと思いました。
里也子:わたしも中小企業でいちばん大切なのは人だと思います。
森本:仕事では、年間1000枚も名刺交換をしていました。コロナ禍でそれができなくなって、人と会って一緒にすごす時間がすごく貴重だ!と感じ、人と会う時間をいとおしく思うようになりました。
里也子:女性ならではの苦労とかは、ありませんでしたか?
森本:一番悩んだのは子育てですね。2人の子どもがいますが、子どもたちに寂しい思いをさせてしまいました。それでメンタルのバランスが崩れて学校に行きたくないと言われたこともありました。
里也子:思春期は誰にでもあるものですし、モリチさんのせいではないと思います。時間を掛けて自分の居場所が見つかれば解決できることだと思います。わたしも3人の子どもがいて、高校三年生の長男とは会話も少ないですが、ある時、彼の書いたレポートをこっそり読んだら、小さい頃から伝えたいと思っていたことが全部書いてあって、話してくれたことはなかったけど、ちゃんと伝わっていたんだな~と思ったことがあります。
森本:自分の命を投げ打ってでも代えがたいのは子どもたちの存在ですね。生きていく上で何かミッションがあるとしたら、自分がハッピーで誇らしく生活していること。わたしがハッピーでなければ子どももハッピーにならない。子どもたちが誇らしく思える自分でありたいと思っています。
里也子:とても共感します。ママがハッピーでいられることが大事ですよね。
株式会社morich