Orbray株式会社(旧アダマンド並木精密宝石)ブログ。技術のトレンド、製品のワンポイント、SDGsなどについて紹介していきます。

環境発電デバイスに必要な小型、薄型化、堅牢、高効率への対応

環境発電デバイスに必要な小型、薄型化、堅牢、高効率への対応
   最終更新日:    公開日: 2021/11

IoT (Internet of Things)やM2M (Machine to Machine)などの技術は、近年多くの場所で使用されるようになりました。モノにセンサーや通信機能などを持たせることで多くのデータが得られるようになっています。それにより、今までできなかった遠隔での操作や制御の他、データの解析による問題の検知や予測など、様々な事が可能になりました。 IoTに利用されるセンサーや通信デバイスの駆動には電力が必要になります。しかし、IoTやM2Mのデバイスは、小型、軽量で、人の手の届かないような場所に取り付けることが多く、設置する数も多いです。配線や電池交換が容易にできないため、電力供給が課題になります。そこで注目されるのが、周囲の環境にある様々なエネルギーから電気エネルギーを得る環境発電エネルギーハーベスティング)です。

環境発電とは

私たちの周囲には、様々なエネルギーが存在しています。風や波、地熱、太陽光などの自然エネルギーは、人が生活するための電力を得るエネルギーとして既に多くの設備が作られて活用されています。環境発電は、今まで使われていなかった人が動くときに起こる振動や、機械の発する熱、空間を飛び交う無数の電波など、微小なエネルギーを活用して発電を行う技術です。

例えば、振動エネルギーよる環境発電では、コイルと磁石による電磁誘導や、圧電素子による圧電効果を用いて発電が行われてきました。振動により磁石とコイルが互いに動くことや、圧電素子に断続的に圧力がかかることで、振動エネルギーが電気エネルギーへ変換されます。

熱による環境発電では、空調からの排熱や、装置から発生する熱、体温など、利用されることが少ない比較的低い温度の熱エネルギーを電気エネルギーに変換します。発電では、2つの物質の温度差により電位差が生じるゼーベック効果が用いられてきました。 環境発電をIoTデバイスに用いるメリットは、無電源でのデバイスの駆動が可能になることです。周囲の環境にあるエネルギーを使って発電を行うので、IoTデバイスに搭載すれば、自ら発電して電力を得ることができるようになります。その電力を使ってセンサーなどを駆動させることができれば、外部からの電力供給は不要になるので、電力供給問題が解決できます。電源への配線や、電池交換などの作業も不要になり、設置費用や設置後のメンテナンスコストの削減も期待できます。今後のIoTの普及には、環境発電は欠かすことのできない技術なのです。

環境発電普及の課題

環境発電には様々な種類があり、既に実用化されて使用されているものもあります。多くのメリットのある環境発電ですが、更なる普及には課題もあります。環境発電は、今まで使われていなかった微小なエネルギーを電気エネルギーに変換しているので、得られる電力は非常に微弱で不安定です。使用できるのは消費電力の少ないデバイスに限られます。環境発電による電力を、より消費電力の大きいデバイスで安定して継続的に使用するためには、一時的に蓄電できるようにしたり、より発電量を増やしたりすることが必要です。

発電量を増やす方法としては、環境発電デバイスのサイズを大きくすることで、振動や熱のエネルギーをより多く受ける方法が考えられます。しかし、環境発電デバイスのサイズが大きくなると、搭載したIoTデバイスのサイズも大きくなってしまうので、環境発電デバイスは、より小型、薄型であることも必要です。小型、薄型にすることで受けられるエネルギーが少なくなれば発電量も小さくなるので、より発電効率を上げなければなりません。 また、IoTデバイスは人が近づけない過酷な環境に接地されたり、振動や強い衝撃を受ける装置に取り付けられたりすることが多くあります。IoTデバイスは、小型、薄型の他に、設置しやすく堅牢であることも重要です。同様に環境発電デバイスにも、導入の容易さや、堅牢性、高い耐久性などが求められます。

より、小型、薄型、堅牢、高効率になる環境発電デバイス

近年、小型、薄型でありながら、より発電効率の高い環境発電デバイスが各種開発されています。例えば、熱エネルギーを用いた発電デバイスでは、従来と同程度の発電量でありながら、フィルム状に形成された薄型でフレキシブル性のあるものが開発されています。自由に曲げて使えるので、熱を発するものに形を合わせて貼りつけることが可能です。ウエアラブル端末用の発電デバイスとして活用すれば、人の体が発する熱を使って発電することができます。光エネルギーを用いた発電デバイスでも、従来よりも高い発電効率を持つ小型、薄型のものが多く開発されてきました。

また、振動エネルギーを用いた環境発電デバイスでは、従来の一般的なものでは1mW程度の発電しかできませんでした。それと比べ、数十~数百倍の出力を得られる振動発電デバイスが開発されています。そのような振動発電デバイスでは、50mm以下のサイズで、重さも60g程度と軽量でありながら、200mW以上の電力を1回の動作で複数回発することも可能です。更に、高い堅牢性も持つので、強い衝撃を連続で受けることも可能であり、従来の振動発電デバイスよりも小型なので導入、設置も容易にできます。

今後のIoTやM2Mの普及では、電力供給の課題解決がより重要になり、環境発電デバイスの更なる高性能化への期待が高まっていきます。また、IoTデバイスは数も多いので、環境発電の機能を付加するコストが大きければ、それだけ負担になります。環境発電デバイスの導入は、より低コストで行えることも必要です。小型、薄型であり、堅牢、高効率、低コストの環境発電デバイスの開発が望まれます。


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