医療機器ODM(受託開発)・OEM(受託製造)とは?|ODM・OEMのメリットや受託企業選択のポイントを解説

ODM(Original Design Manufacturing)・OEM(Original Equipment Manufacturing)は、製造業においてメーカーが他の企業に生産を委託する際に用いられるビジネスモデルです。かつては自動車やパソコン、半導体産業などを中心に広がってきましたが、現在では高い技術力が求められる医療機業界でも、さらなる普及に期待が集まっています。この記事では、医療機器メーカーで製品開発を担当する方々へ向けて、医療機器ODM・OEMの基礎知識や役割・メリット、受託企業を選ぶポイントを解説します。貴社の新製品上市計画にODM・OEMを加えるための情報として、ぜひお役立てください。
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医療機器ODM(受託開発)・OEM(受託製造)とは

医療機器ODM・OEMとは、医療機器メーカーが製品の開発や設計、生産までの一部または多くを技術力や生産力のある他の企業に委託するビジネスモデルです。
ODM(受託開発)は、製品の設計開発から生産までを受託企業が担います。製品は委託企業ブランドの製品として開発製造されます。受託企業が製品の開発段階から深く関わり、上市へ向けたさまざまなプロセスを委託企業と共同で実行する点が特徴です。
一方、OEM(受託製造)では、委託企業のブランドのもとで受託企業が生産のみを実施します。設計開発は委託企業が行い、受託企業は委託企業から提供された情報をもとに製品の製造を担います。
医療機器市場におけるODM・OEMニーズの高まり

成長を続ける医療機器市場ではさらなる技術革新が求められる一方、製品の設計開発や生産の壁が高く企業の新規参入を妨げていることが、医療機器産業全体の大きな課題となっています。ODM・OEMは、企業が直面するこうした課題への解決策として、注目を集めています。
先進国で進行する高齢化や、新興国・途上国の人口増加と経済発展などにより、世界で医療機器市場のさらなる拡大が見込まれます。わが国も例外ではなく、国内市場規模は2027年に約380億ドルに達すると予測されています*。
このような大きな需要に応えるには、臨床現場の問題を解決するイノベーションや、現行製品改良への取り組みが不可欠であり、今後ODM・OEMの果たす役割はますます重要になると考えられています。
また、海外市場への事業拡大においても、ODM・OEMは欠かせない選択肢です。近年、グローバル医療機器メーカーの中には、ODM・OEM受託企業と連携し、収益性を向上させながら各地域のニーズに応じた製品を生み出す成功例が多く見られるようになってきています。
*経済産業省出典
医療機器産業ビジョン 2024
医療機器ODM・OEMのメリット

医療機器業界においてODM・OEMのニーズが高まっていますが、委託企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、医療機器ODM・OEMの主なメリットを2つご紹介します。
医療機器開発リソースの確保
医療機器業界では、研究開発に何年にもわたる時間や人材の投資が求められることから、市場参入の障壁となる場合があります。ODM・OEMは、委託企業がリソース不足を克服して新製品の上市を実現させるための有効な手段です。
医療機器ODM・OEMで先行している諸外国では、ODM・OEMを活用して効率的な分業体制の構築に成功しています。こうした国々では、大手メーカーが設計開発や生産をODM・OEM受託企業に委託することにより新製品のリソースを確保しやすくなります。受託企業から製造の視点を踏まえた製品開発の提供を受けるというビジネスモデルが広がっています。
タイムリーな市場参入が可能
ODM・OEMでは、優れた技術を持つ受託企業に開発製造プロセスの一翼を担わせることで、上市までにかかる時間が短縮される可能性があり、最適な時期での市場参入に寄与するのもメリットです。メーカーが自社での技術開発や生産体制構築を行う場合、こうした準備に多くの時間を要し、上市タイミングの遅れにつながる場合があります。ODM・OEMを活用することで製品を速やかに市場に投入できると、市場からのフィードバックが早期に得られ、さらなる改良や新製品開発も加速されると考えられます。
新製品にリソースを最大限活用するには、成熟期に達した製品の効率的なマネジメントも不可欠です。従来品の安定的な生産供給や生産調整を適切に行うためにも、ODM・OEMによる生産委託が役立ちます。
医療機器ODM・OEMパートナーの連携

医療機器ODM・OEMの効果的な運用には、パートナーである受託企業の実力と、委託企業との良好な連携が鍵となります。その連携のモデルついてご紹介します。
ODM・OEMの導入には、「垂直分業」と「水平分業」の2つのモデルがあります。
垂直分業
委託企業が主導的な役割を担い、受託企業がその指示のもとで製造や開発を行う体制です。このモデルは、委託企業が技術的優位性を持つ場合に適しています。
水平分業
委託企業と受託企業が対等な立場で協力し、あるいは受託企業が高い技術力を提供するモデルです。医療機器業界では、特に水平分業の採用が増えており、これにより効率的な分業体制の構築が進んでいます。
医療機器ODM・OEMパートナーの選択基準

医療機器メーカーが自社製品を最も効率的に設計開発・生産し、早期に上市するには、自社に最適なODM・OEM受託企業を選択し、良好な関係性のもとでプロジェクトを進行することが不可欠です。
ODM・OEM受託企業の選択基準として押さえておくべき特に重要なポイントには、以下の3点が挙げられます。
- 水平分業型ODM・OEMが可能な高い技術力
委託企業と同水準またはそれ以上の技術力が求められます。 - 需要に見合う生産体制
需要に応える十分な生産能力と、製品ライフサイクルによる需要の変動に対応できる柔軟性を備えていることが必要です。 - 委託企業との強固な連携
特にODMでは、委託企業と受託企業が互いの能力や得意分野を十分に理解した上で、製品上市に至る一連のプロセスでの役割分担の最適化を行うことが重要です。
まとめ|医療機器ODM・OEMで最善のパートナーに出会うために

医療機器ODM・OEMは、委託企業の医療機器メーカーに新製品の上市を促進させるためのさまざまなメリットをもたらします。また、ODM・OEMは市場での競争力強化に有効な手段としても活用されています。ODM・OEMを効果的に導入するには、最適なパートナー関係を構築できる受託企業との連携が重要です。
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