奥入瀬サミット
代表取締役社長 並木 里也子
9月21日(土)~22日(日)、奥入瀬(おいらせ)サミットというイベントに参加しました。
これは女性リーダーの育成とネットワークづくりを支援し、女性の社会貢献や地域の活性化につなげることを目指す催しで、毎年秋に十和田湖畔で開催されています。
今年は約50人が奥入瀬森のホテルに集まりました。私は、主催者の対馬ルリ子先生と知り合いその縁で、初参加しました。1日目は講演、2日目には「学びと進化」をテーマに人生における挑戦についてトークセッションを行いました。
このセミナーは、青森県が2012年に初めて開催し、18年からはセミナーに参加した女性たちが設立した民間団体「奥入瀬サミットの会」に運営を移行、国内外の講師を招き、今年で13回目になるそうです。
現在、この会を率いるのは、弘前市出身の産婦人科医師で、都内で医療法人理事長などを務める対馬ルリ子先生です。
対馬先生は、当初青森県が3年で終わらせる予定だったこのイベントを、県に働き掛け、さらに3年続け、その後は、民間の手で継続しようと奔走してこられました。
本業では、東京のクリニックで、貧困に苦しむ女性、シングルマザーなどの支援を行っています。また、コロナで病院経営が厳しい中、医療や福祉、政治、経済界が連携し女性のウェルビーイングの実現に向けた活動の推進、政治家への政策提言などを行うことを目的とした「日本女性財団」を創設しました。また2023年には、八戸市の実家を改築し、困窮した女性のためのシェルター「白銀ハウス」を開設しました。こうした会議を企画した青森県、そして県の作った流れを多くの人の手を借りて継続する対馬先生の情熱に心を動かされました。
1日目の講演で、私はスノーボードの選手として世界のトップアスリートと共にワールドカップの大会を転戦していた経験について話しました。子どものころはスキップもできない運動音痴だった私は、この競技に出会って、のめり込み、全日本選手権で優勝、4年間も世界中を転戦する生活を送りました。
アスリート時代は常に100%を目指して努力し自分を追い詰めながら少しでもよい成績を収めようとギリギリの精神状態で暮らしていました。今の何事にもポジティブな私からは想像もできないかもしれませんが、あの頃はストレスをうまく解消できなかったり、物事をネガティブに考えてしまうこともよくありました。
しかし、競技生活を卒業し、家庭を持ち、社会のため、子どもたちのためのさまざまな活動に参加するうちに、そんなに自分を追い詰めないでいいじゃないか、今100%である必要があるのか?継続していくことの方が重要ではないかと考えるようになりました。こうした経験は経営者としての私のコアになっていると思います。
日本はジェンダー指数で、2024年も世界156国中118位と非常に低い順位から抜け出せずにいます。国は1987年の男女雇用機会均等法や1991年の育児休業法の成立、2015年の女性活躍推進法など法制度を整備して女性が社会で活躍できる環境づくりを進めていますが、社会でリーダーシップを発揮する女性の数はなかなか増えません。
奥入瀬サミットでの講演で、私はこうした日本における女性のエンパワーメントのための制度の歴史を簡単に説明したあとに、Orbrayの女性のリーダーシップ研修やワークショップなどについて紹介しました。
日本は2003年に、2020年までに管理職の30%を女性にするという目標を設定しましたが、未だに10%に乗せることもできていません。Orbrayでも多くの女性にリーダーとして働いてもらいたいと思っていますが、役職への就任を打診すると、「私にはできません」と固辞されてしまう状態が続いています。
Orbrayでは、まずは女性がリーダーになるのが当たり前の環境作り、女性の意識改革が必要だと考え、社内体制の整備を行っています。また、役員への登用を意識的に増やしています。そのためには女性が自分を知り、自己を肯定し、日常生活や人生そのものの充足感を高めること、自分への誇りを育てることが、仕事のモチベーションを高め、リーダーシップを含めた能力の向上につながると思っています。
女性社員との対話を続けていると、自分を卑下しすぎる人が多いと感じています。
それは女性に能力を発揮する機会が与えられなかったといった男性中心の会社の仕組みも影響していると思います。Orbrayは女性が仕事の上で成長し、リーダーシップを育むための対策を充実させています。誰にでも欠点や苦手なことはあります。でも、それを理由にして夢を持つことや挑戦することを諦めないでください。自分のいいところを探して、得意なことを伸ばし、夢に向かって努力する。そこから大きなエネルギーが生まれる、意欲が生まれる。そのエネルギーが自分に対してだけでなく周囲の人に対しても働き、信頼関係が築かれる。それがリーダーシップなのだと思っています。