Orbray株式会社(旧アダマンド並木精密宝石)ブログ。技術のトレンド、製品のワンポイント、SDGsなどについて紹介していきます。

高校生の起業体験プログラム

   最終更新日:    公開日: 2025/01

代表取締役社長 並木 里也子

リアルな起業を体験できる教育プログラム「JPX起業体験プログラム2024 in AKITA」の3カ月にわたるプロジェクトを締めくくる「株式総会」が25年1月12日、秋田市のあきた文化創造館で行われました。

このプログラムが 秋田市で行われるのは初めてです。教育事業を幅広く手がけ、この起業プログラムの活用を県内各地の高校で推進する一般社団法人Sail on Japanの奥真由美代表の提案で秋田市の秋田高校、秋田北高、秋田南高の1,2年生約80人が参加しました。

プログラム名についたJPXとは、東京証券取引所や大阪証券取引所などを傘下に持つ日本取引所グループのことです。上場された株式が売買されているところです。このプログラムはJPXが枠組みを作り、全国各地で実施されています。


2024年8月に最初の説明会が行われました。参加者は10組に分かれ、事業アイデアを考えます。次に、投資家(ベンチャーキャピタリスト)にそれを説明し、事業計画をプレゼンテーションし、出資を受けて株式会社を作りました。その後、ものづくりの会社は商品を実際に作り、12月には模擬店を開設して一般人を対象に商品を販売したりサービスを来客に説明したりしてリアルにビジネスを体験しました。そして、1月12日に「株主総会」でこの数カ月の活動を総括したプレゼンテーションを行い幕を閉じました。

株主総会では、高校生たちが会社を立ち上げるための苦労や最初は漠然としていた事業アイデアをどのように形にしていったか、値段の決め方、売り方の工夫などについて語りました。商品開発や販売ではさまざまな大人に協力を要請する必要がありました。

高校生の生活は普通、授業と部活の繰り返し。学校の先生や親以外の大人との接触はほとんどありません。しかし、このJPX起業体験プログラムには、企業の賛助があり、企業の社長に会ったり、社長からアドバイスを受けることもできます。ほとんどの高校生にとっては初めてのことだったのではないかと思います。

私は10社の株式会社の中から、秋田南高校 株式会社「いちごいちえ」の株主となりました。私が特に共感し、いちごいちえに出資を決めた理由は、いちごをこよなく愛するスイーツ好き女子たちの熱い想いに心を打たれたからです。特に印象的だったのは、女子高生社長の経営者としてのセンス。彼女の直感と行動力を信じ、事業内容についてはすべて彼女に任せました。その代わりに、経営者としての心構えについて少しアドバイスをさせていただきました。さらにもう1社にはOrbrayからサファイヤやルビーの廃材を提供しました。SDGsを意識して、廃材をうまく活用し、アクセサリーを販売。そのデザインのセンスがとても良く、どれも好評だったと聞いています。どの会社も高校生たちの夢と情熱が詰まった素晴らしい企業でした。

夢を実現するために最も大切なのは「諦めない気持ち」です。諦めないということは、どれだけその夢が好きか、どれほど強い思いを持っているかを自覚することでもあります。そして、夢を追いかける道のりは決して一人ではありません。同じ目標に向かう仲間がいるからこそ、困難にも立ち向かえるのです。
今回の取り組みを通して、高校生たちは仲間とともに作り上げる喜びや、目標を達成する感動を実感したのではないかと思います。


ちなみに「株式会社」とはどういうものかご存じでしょうか?株式会社は、会社形態の中でも設立が特に大変ですが、その分、大規模なビジネスを展開するのに適した仕組みを持っています。もちろん今回設立したのは本物ではありませんが、基本的な構造を学ぶことができます。株式会社の起源は17世紀にオランダで設立された東インド会社にさかのぼります。東インド会社はアジアやアメリカ大陸まで航海し香辛料などを買い付けに行くための膨大な費用を集めようと多くの人から出資を受けその証拠として株式を渡しました。航海から帰って持ち帰った商品を販売して出た利益を株主に分配しました。株主にとっては万が一、船が難破して海の藻くずと消えても出資額がゼロになるにとどまり、大きな借金を抱えるようなリスクは追わずにすみますが、航海が成功した時には大きな利益を得られることから、広く普及しました。

起業体験を経て

Sail on Japanの奥さんは、「生徒たちにとって、商品に値段を付けることも、どうしたら売れるか、どうしたら利益を出せるかとお金や数字を真剣に考えることも初めてだったと思います。何をいくつ準備するか、お店をどう作るか──。普段の『正解を出す』学習ではなく『正解などない』学習。そして大事なことは、『自分たちでお金を出している』ということ。自分ごとだから真剣になるし、投資家にもお金を出していただいているから真剣にならざるをえないのです。株主総会が終わった夜は、生徒たちからこれで終わらせたくない!続けたい、大学は経営学部に進みたいといった声も届きました。起業体験を経て生徒たちに敷かれたレールの上を歩くだけでなく、自ら考えて行動できる人間になってほしいと思います」と語りました。

会社を作るという経験は、大人でもほとんど経験した人はいません。模擬的とはいえ会社の立ち上げや経営を体験したことで、このプログラムに参加した高校生たちは今後、企業の決算ニュースや人件費や材料費、インフレといった社会や経済の動きに敏感になるでしょう。進学したり就職したりする時に、経営者の目で判断できるようになっていただきたいと思います。もし将来、会社を設立してみたいと思った生徒がいたらもっと嬉しいです。参加した高校生の将来を楽しみに見守りたいと思います。

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