大面積(111)ダイヤモンド基板の作製技術に関する論文を発表-次世代パワー半導体・量子デバイス向けダイヤモンド基板の研究成果-

Orbray株式会社は、ダイヤモンド半導体材料の大面積化技術に関する研究成果をまとめた論文
「Freestanding 30 mm square {111} twin-free heteroepitaxial diamonds grown on highly-misoriented {0001} sapphire substrates」
を、応用物理分野の国際学術誌「Applied Physics Express」に発表しました。
当社では、サファイア基板上でのヘテロエピタキシャル成長技術を用い、(111)ダイヤモンド基板としては世界最大となる20mm角の基板作製に成功したことを昨年3月に発表しましたが、本研究では、さらに大面積である30 mm角の高品質・高純度(111)単結晶ダイヤモンド自立基板を作製する技術を確立しました。また、抑制が難しい結晶欠陥の一種であるツイン(双晶)を抑制した高品質結晶成長の鍵となる条件を明らかにしました。
本成果は、次世代の高耐圧パワー半導体デバイスや量子センサーなどの量子デバイスに向けた材料研究の進展に貢献するものです。
URL : https://iopscience.iop.org/article/10.35848/1882-0786/ae4b05
DOI : 10.35848/1882-0786/ae4b05 | CC Creative Commons BY 4.0
1.研究成果の概要
(1)研究の概要

本研究では、サファイア基板上にイリジウムのバッファ層を形成し、マイクロ波プラズマCVD法によってダイヤモンドを成長させました。
特に、特定方向に大きく傾斜した結晶面を有するサファイア基板を用いることで、ダイヤモンド結晶の成長形態(ステップフロー成長)を制御し、双晶形成を抑制しながら大面積の(111)ダイヤモンドを作製する技術を確立しました。
その結果、従来は数mm程度が一般的であった(111)ダイヤモンド基板について、30 mm角の自立型単結晶基板を実現しました。
(2)研究結果の特長
- 30 mm角の自立型(111)単結晶ダイヤモンド基板の作製に成功
- X線回折測定により、基板全面にわたって双晶のない単結晶構造を確認
- サファイア基板の比較的大きな傾斜角度がステップフロー成長を促進するだけでなく、特定の傾斜方向(〈11-20〉方向)が双晶抑制に重要であることを発見
2.研究の背景
ダイヤモンドは
- 高い耐電圧
- 非常に高い熱伝導率
- 高いキャリア移動度
などの優れた特性を持つことから、次世代パワー半導体材料として注目されています。
現在のダイヤモンド半導体研究では、主に(100)面を持つダイヤモンドと(111)面を持つダイヤモンドの2種類の結晶面が利用されています。
- (100)ダイヤモンド
比較的容易に作製できるため、工業用に用いられている。また、パワー半導体デバイス研究で広く利用されています。 - (111)ダイヤモンド
n型ドーピング制御が比較的容易であることに加え、量子センサーに用いられるNVセンターのスピン配向をそろえやすい特徴があります。
このため、(111)ダイヤモンドはパワーデバイスおよび量子デバイスの双方に重要な材料とされていますが、双晶が発生しやすく、大面積基板の作製が難しいという課題がありました。
3.研究結果の発表
本研究成果は、以下の論文として発表されました。
論文名:
Freestanding 30 mm square {111} twin-free heteroepitaxial diamonds grown on highly-misoriented {0001} sapphire substrates
掲載誌:Applied Physics Express
掲載日:2026年3月11日
4.今後の展開
本研究で得られた(111)ダイヤモンド基板作製技術は、
- 次世代パワー半導体
- 高感度量子センサー
- 極限環境用電子デバイス
などへの応用が期待されます。
今後は、さらなる大面積化や高品質化、デバイス応用に向けたドーピング基板も視野に入れた研究を進めていく予定です。
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