拠点:横手工場
Q. 入社の理由をお聞かせください。
リーマンショック直後の就職活動の中でも、今後働いていくビジョンを持てたことです。
学生時代は素材や材料に興味を持って学んでいたので、それを生かせればと会社説明会に臨みました。
説明会で希望部署の年齢の近い社員と時間をかけて話すことができ、近い将来像を思い描けたことが決め手の一つとなりました。また面接では当時趣味で使っていた銀粘土の話になりました。「成形・脱脂・焼成・磨き」と製品の製造工程に似ていることがわかり、少し身近に感じたことを覚えています。
Q. 現在の仕事内容を教えてください。
光通信の配線を接続・切断するための光コネクタに使用されるジルコニアフェルールが主力製品となっています。高い信頼性が要求されるため、高精度・高耐久・微細形状付与が不可欠となります。一方で素材として使われているジルコニアは非常に硬く加工や形状付与が困難なため、金型に加熱した材料を流し込む射出成形という成形方法を採用しています。本来ただの粉であるジルコニアを「流し込む」ことを可能にしているのが粉に混ぜ込む熱可塑性樹脂の存在であり、その混合する樹脂の種類と配合が基盤技術となっています。私はその配合の改良を通して製品の精度改善や、新規形状製品の試作に取り組む業務を行っています。通信インフラを支えているという重要性を感じます。
Q. Orbrayの魅力とは?
信頼性の高い製品を量産する生産工場としての一体感です。
数十個単位ではできていたものが、数百数千個となるとできなくなってしまうというのは技術の業務を行う中で直面する課題の一つであり、量産の難しさを痛感するところです。そうした中で高い信頼性を求められる製品群を工場として量産し続けられているのは、各々の部署・工程・従業員が日々の作業の中で生じる小さな問題に対して、一人一人の知識と経験で対応し信頼性を満足する水準を維持している結果だと思います。意見の対立があっても、その点に関しては思いが一貫しているという一体感が強みであり魅力です。
Q. どんな時にやりがいを感じましたか?
新しく考案した配合材料で、既存の材料ではできない形状の製品ができた時です。
成形時は流動性を持たせる役割として有用な樹脂ですが製品としては不純物となり、樹脂成分を抜く「脱脂」が必要になります。ただ、混合した材料から樹脂だけをきれいに抜き出すのは難しく、試作案件の形状によっては変形したりヒビが入ってしまったりします。そうした既存の材料では対応できない試作案件を、新しい材料配合を検討することで形にできた時は非常に達成感がありました。
Q. 将来挑戦したい仕事は何ですか?
既存の材料は配合としてほぼ完成されていて、配合を試行錯誤していると、安定した量産を実現させた先輩方の偉大さを思い知らされます。しかし精度面にはまだ改善の余地がありますし、サイズの大きい試作案件にはヒビのリスクもあります。そうした課題を解決した、どんな形状・サイズにも対応できる万能な材料を作り出すことが今後の目標です。